新宿の歌舞伎町一番街には、｢博多天神｣という豚骨ラーメン屋があり、店頭には蓑を着て貝のような帽子を背負ったブタの置物が2つの赤提灯に灯されている。｢西遊記｣に出てくる猪八戒に似た可愛いブタを見た瞬間、どうしてもカメラに撮りたかったが、勝手に撮ると失礼だと躊躇していた。

「いらっしゃいませ。写真を撮ってもかまいませんよ」。ぐずぐずしていると食卓を片付けていた中年の女性店員が声をかけてきた。その女性にありがとうと言いブタに近づくと、お腹には｢可以拍照片(写真を撮ることができます)｣と書かれた紙が貼られてあった。

友人の陳さんは、前に観光で東京に来た時に食べておいしかったから食べようと言う。写真だけ撮って厚かましく離れることもできないし、その中国語の説明にも親しみを感じたので、私たちはラーメン屋に入ることにした。

それほど大きな店ではない。一番安いラーメンは500円だけで、麺のお変わりを1回できるほかにも、自由にスープを足すことができる。経済面でいつもきゅうきゅうしていた私たちにとっては魅力的だ。