武寅副院長は挨拶の中で、中日経済協力のこれまでの経緯を振り返り、現在の中日経済関係はすでに「新たな地平」にたどり着いていると語った。「まず、ODA援助が終了し、中日経済協力は、平等に行なわれる新たな時代に入ったことを示している。そして、今年は「中日科学技術協定」調印30周年にあたり、中日の科学技術面の交流も、これまでの日本から技術を導入するというモデルから、導入と共同開発を両立させる方向へと転じるべきである。また、中日両国は、経済構造はともに外需主導型で、今回の金融危機の中で大きな損失を余儀なくされた。こうした経済構造の改善は、中日両国がともに直面している問題である。両国間の貿易と投資を促進し、相手側からの輸入を増やすことは、両国の内需拡大や経済構造の調整に役立つ」。武寅副院長は、中日はともに積極的にチャレンジに対応し、チャンスをとらえて、中日経済協力の新たな局面を作り出さなければならないとし、新たな地平からスタートする中日の経済協力は、量だけでなく、質の発展を重視することも必要だと述べた。
梅田邦夫公使は挨拶の中で、「この30年間に、日中両国の友情と協力関係は、大きく広がり、深化した。また、両国が直面する課題と、両国を取り巻く国際情勢も大きく変化した」と振り返り、「現在、日本は少子高齢化社会を迎え、いかにして社会の活力を維持し、経済を活性化にするかということが問題となっている。中国の発展は目を見張るものがあり、特に金融危機の発生以降、いち早くV字型経済回復が達成され、現在の中国社会には、勢いと活力が満ち溢れている。その一方で、中国では、富の公平な分配、社会の公正を求める国民の声は、ますます強くなっており、また成長を理想的なものにするために、環境問題を解決し、成長パターンを変化させることが非常に重要な課題となっている」と両国の課題を取り上げ、「現在、両国が抱えている問題には、共通のものもあるが、異なるものもある。ただ、日中双方が学びあい、これから協力を強化できる点は、まだまだたくさんあると考えている」と述べた。
李薇所長は、ここ30年来の中国社会科学院と日本の経済界、経済学界の交流を総括し、交流の大切さを強調した。「日本の失われた10年、15年を研究する際、日本経済に存在する問題を見つけ、自分たちの理解の不足にも気づいている。今の中国は、日本がかつての高度成長期に経験した問題にもぶつかっている。中国の問題意識をもって日本を見つめると、日本のかつての歴史的背景、政府の決断、民間の対応及び異なった背景にある多国籍企業の行動などは、現在の中国にとっても重要な参考となる」
王洛林会長は「2010年における中国のマクロ経済の情勢」、福川伸次会長は「日中協力の回顧と新たな地平」をテーマとする基調講演を行い、余永定教授は「中国は日本から何を学ぶことができるか」、吉川洋教授は「日本経済の経験と日中協力の将来」についてコメントし、全国日本経済学会の江瑞平副会長、政策研究大学院大学の角南篤准教授、中国国際技術智力協力会社日本支社の張俊総経理、株式会社小松製作所の茅田泰三中国総代表、中国城建第五工程局有限会社の高建林会長など、経済学者や企業家たちが自分の見解を述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年3月21日