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新世代の学者による東アジア人文・知日文叢 の意義
発信時間: 2008-03-06 | チャイナネット

異国の風土や文化と親しむことは楽しい。一つの土地で長く暮らせば、その風土や慣習、文化が知識から味わいを引き出し、その味わいの豊かさと深みに誘い込んでくれる。

「漬け物」から見た日本

「漬け物」にまつわるささやかなエピソードがある。

日本を初めて訪れたのは、ちょうど桜が満開の4月のことだった。到着の翌日、夫とともに、富山の長慶寺で催される桜の鑑賞会に足を運んだ。花見の雅やかさはいうまでもなくすばらしいものであったが、美しい花見弁当の最後に漬け物の小皿が運ばれてきたことに、私は戸惑いを覚えた。中国人なら、漬け物でお客様をもてなすことなどありえないからだ。それでも私は、その素朴で個性ある小皿に盛りつけられた、漬け具合のちょうど良い、つやつやとしたきゅうりや茄子と大根の盛り合わせを喜んでご馳走になった。その浅漬けのさっぱりとした甘美は、私の舌に忘れられない記憶を残してくれた。

その後たびたび、贈り物で漬け物をいただくことがあった。京都の千枚漬、奈良漬、福島の長久保の紫蘇巻などで、夏の盛りや師走のころには、ほかの地域で暮らす友人が一箱二箱と送ってきてくれることもあった。私は大変興味をかきたてられた。日本人はどうしてこんなにも漬け物が好きなのだろう、と。

日本全国各地を訪れ、いたるところでさまざまな漬け物屋を目にするうちに、私も日本人のようにどこかへ行くたびにその地方の漬け物を買い、友人たちに贈るようになった。「郷に入っては郷に従え」である。

日本に長くいると、日本人の友人宅にお邪魔することも多い。日本人は手土産の漬け物を受け取ると、すぐにその晩の食卓に並べる。家族全員で食卓を囲み、貰った漬け物の産地やお店の歴史などをひとしきり話しながら食事をする。漬け物を贈ってくれた人に感謝の気持ちをこめて。その和やかな雰囲気は、口の中に広がるさっぱりとした、かつ豊かな味わいのようであり、「漬け物を贈る」というささやかなことの裏にあるその自然な厚い人情に、つくづく感動させられる。

「漬け物を贈る」というのは、本来取り上げていうまでもないささやかなことかもしれないが、そこにはほかの物事にも通ずる道理がある。

日本社会や日本文化、日本人の心理は、ざっと本で読んだり、短い滞在でさっと見たりしたところで簡単に理解できるものではない。その環境に身を置き生活しながら少しずつ感じ取るのはもちろん、本に書かれていることと個人の頭の中の日本や身の回りの日本と結びつけて確認し、その認識をさらに深めるというプロセスが不可欠である。さもなくば、目に映る日本も書かれた日本も、漬物の「味」を色や皿の形といった見た目だけで決めつけてしまうような、表面的に理解したもので終わってしまう。けれども、色や皿の形といったものは常に同じとは限らない。

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