昨年の上海モーターショーで、尾崎氏はフォードへの不満をはっきりと口にし、フォードから自己株式を取得し、フォードの束縛から逃れる機会をうかがっていることを認めた。今年の北京モーターショーで尾崎氏は大陸メディアに別れを告げ、その後日本に帰国した。マツダの中国市場での発展は当初の計画通りにはいかず、大量の完成した乗用車が重慶市の長安フォードマツダの倉庫に眠っている。一汽マツダは製品をモデルチェンジする際に、、「マツダ6」で長安マツダが生産・販売する「マツダ3」と競争することをはっきりと表明した。
フォードとマツダが中国で繰り広げた混乱劇は、先週から徐々に収まりかけている。こうした点を踏まえると、マツダはこのたびの金融危機で利益を得たことになる。実際、米国での金融危機発生以来、大陸メディアは中国自動車企業が米国や欧州で買いたたきをする可能性について熱い議論を交わし、基本的に「買いたたきするほどの力はない」という結論で一致をみた。それでは合弁会社はマツダのように「独立」するに足るほどの資本を備えているだろうか。
マツダが「独立」に到るまでの数年間はフォードが株式支配権を握っていた。フォードはマツダを世界規模の研究開発システムに組み込むよう働きかけたが、マツダは完全には従わず、フォードの支援を受けても、新車開発や市場での営業などでは一貫して「独立」状態を堅持してきた。一部の短期的な利益(中国市場もその一例だ)を犠牲にしてでも「独立」を保った。こうして機会が到来した時、マツダは迷うことなく「独立」を選択した。
機会はいつも充分な準備をしていた人に訪れるもので、企業も例外ではない。大陸部自動車業界で議論されてきた、合弁企業が独自のブランドをもつべきかどうか、完成車の研究開発能力を備えるべきかどうかという問題について、今回のマツダの「独立」は明確な回答を与えるものだ。
「人民網日本語版」2008年11月27日
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