復興の段階に入ってからは、特に、これまで日本が積み上げてきた地震に関する知識を中国と共有し、中国の復興に役立ててもらいたいと考え、日本の技術や経験、ノウハウ等ソフト面を中心とした5分野(まちづくり、健康・福祉、社会・文化、産業・雇用、防災)からなる50項目の協力内容リストを作成しました。08年7月に日本政府ミッションを派遣して、このリストをもとに具体的な協力内容につき中国政府関係者と意見交換を行い、中国側のニーズを踏まえた上で、同月の北海道洞爺湖サミットにおける日中首脳会談において、胡錦濤国家主席と福田総理(当時)との間で協力内容が確認されました。被災から1年たった今日、50項目のほとんどが既に実施され、また現在もなお多くの日本人が現場で中国の方々と手を携えて共に汗を流しながら復興に取り組んでいます。
こうした災害復興・予防に関するプロジェクトには、官民多岐にわたる幅広い内容が含まれています。例えば、政府間では、中国の復興計画に際する日本の政策紹介、被災地3省に対する草の根無償資金協力による学校・上水道・医療施設整備15案件や救急車の寄贈、また、中堅幹部交流として被災地代表が3回(08年7月、12月、09年1月)にわたり計約200名が訪日し、日本の復興の取組を視察しました。こうした知見が、現在、被災地での復興活動に大いに活用されていると伺い、大変嬉しく思います。また、専門家の間では、耐震建築、林業復興、被災児童の心のケア等の交流やシンポジウム等が実施され、知見の共有が図られています。その他、日本企業、地方自治体、一般国民がそれぞれ自分の知恵を活かし、中国の皆さんと幅広い被災協力を行っています。この様な取組が一刻も早く被災地の復興に繋がることを強く願っていますし、また今後震災が発生した時に被害を極力小さく留める為の対策に繋がって欲しいと思います。
この1年間、日中の友情の輪はさらに拡がりました。多くの日本人が、被災地の皆さんが深い悲しみと辛く厳しい毎日を送られてきたとか、復興の過程がどれほど険しく長い道のりであるかということを、日本での自分達の経験から深く理解し、心からの支援を行いたいと思いました。一つだけ決して忘れないで下さい。それは、皆さんには中国の仲間がいて、世界の友人がいることです。とりわけ一衣帯水の隣人として、また長い交流の歴史と多くの文化を共有している友人として、我々日本国民は、中国の友人たちと心を一つにし、被災地の復興が終わる最後の日まで、皆さんと手を携えて共に歩んでいくつもりです」
「在中国日本大使館」 2009年5月12日
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