ホーム>>中日両国>>経済
日本企業社長:中国にあふれるグローバル精神
発信時間: 2009-08-10 | チャイナネット

スウィングバイ社の社長を務める海野恵一氏。米コンサルタント会社のアクセンチュアで32年にわたって勤務した経験を持ち、妻は台湾人女性。外見はほかの日本人と区別がつかないが、海野氏ほど「グローバル化」した日本人はそれほど多くはない。「国際金融報」が伝えた。

 

▽中国は「小さな国連」

南京市で6日に行われた中日企業家フォーラムには、グローバル化の最先端で活躍する海野氏も登場した。海野氏によると、中国は非常にグローバル化した国であり、日本にはこの点で弱点がある。中国はこの強みをいかして、危機脱却と経済回復を日本より早く実現する見込みだ。

海野氏によると、中国は、大きな多様性を持った国だと言える。文化・言語・民族のどの面を取っても、単一民族・単一文化と言われる日本とは対照的な多様性を持っている。中国はここ5千年余り、多くの民族を抱えながら存続してきた。異なる民族が戦争や融合を繰り返してきた歴史は、「小さな国連」とも言える特徴を中国に与えている。

中国は改革開放後、市場経済への転換を徐々に進めてきた。人民公社の廃止や住宅分配制度の廃止、WTOの加盟などの歩みを、海野氏は「静かな革命」と称賛する。グローバル精神を持った中国人はこれまで、形式にこだわらない柔軟な方法で変革を推進してきた。このような精神こそ、金融危機に直面しても中国がびくともしない理由となっている。

「これと比べると、日本人には変革の精神が欠けている」。生産技術がとても発達している一方、日本企業は、最先端の技術に固執し、生産効率などの要素を無視する傾向にある。海野氏によると、日本の生産効率は中国よりも30%低いという。

 

▽日本の教訓は適用できるか

日本経済は80年代、株式神話や土地神話を経験した。90年代にバブル崩壊を迎えてからは、10年にわたる経済低迷期に入り、03年にやっと回復が宣言された。世界経済に暗雲が漂い始めたことで、日本の経済低迷期を振り返り、日本が行った経済対策の経験と教訓を汲み取るべきだとの声が中国でも高まっている。

だが海野氏によると、中国と日本の経済構造は全く異なる。巨額の財政赤字は中国には存在しない。中国政府は刺激策として一度に4兆元を出した。輸出への依存度は日本よりも軽く、日本の経済対策の経験を中国に適用することはできない。

海野氏によると、中国経済は現在、金融危機よりも大きな問題に直面している。第一に三農問題(農業、農村、農民)、第二にインフレとデフレの共存だ。海野氏によると、中国特有のこれらの問題には適用可能な前例はない。中国は、産業構造の調整を加速し、さらなる資金と技術の導入に努力する必要がある。

 

▽BPO発展には長期的な視点を

ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)を支援する企業の経営者である海野氏によると、中国のBPO産業は始まったばかりで、ほかの国に学ぶべきことがたくさんある。中国のBPO産業ではしばしば、安価な人材コストと賃貸料で海外と競争しようとする間違った姿勢が見られる。長期的で持続可能な発展という角度から考えれば、中国は、高い生産効率を利用して競争力を上げ、グローバル精神や豊かな歴史・文化を利用してBPOを発展させていく必要がある。

インタビューの最後に海野氏は、「中国に対する日本の民間の認識はまだ足りない。歴史的な原因もあり、両国の人々の間には誤解がある。経済規模第2位と第3位を誇る両国は、民間の交流と協力を増やすことによってこそ、誤解を徐々になくし、ウィンウィンを実現できる」と期待をこめたメッセージを語った。

「人民網日本語版」2009年8月10日

  関連記事
  同コラムの最新記事

· 日本企業社長:中国にあふれるグローバル精神

· 第9回中日経済協力会議、内蒙古で開催 6日

· 中日経済協力会議 省エネに焦点

· 商務部、日韓産銅版紙への反ダンピング措置延長

· 中国の農業作業者、松本の味噌文化を味わう