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神戸大の中西泰洋教授、中国人留学生の知己
発信時間: 2009-08-26 | チャイナネット

 

劉幸宇(神戸学院大学)

日中の留学生の交流に熱心な日本人が数多くいるなか、日本語教育で顕著な業績を上げた専門家がいます。この20年近く、外国人留学生とくに中国人留学生への日本語教育の研究に心を傾け、56編におよぶ学術論文を発表したほか、11部のテキストを編集・出版して、兵庫県で屈指の日本語教育の権威となった人です。神戸大学留学生センター部長の中西泰洋教授です。

 

中西教授は中国の文化を熱愛し、1972年に関西大学文学部中国文学科を卒業。その後、76年に同大学大学院で中国文学修士号、90年に兵庫教育大学大学院で教育学修士号を取得しました。この2つの学歴が、その後の留学生への日本語教育に従事する確固とした基盤を築くことになったのです。70年夏、大学生の時ですが、中国文化への憧れを胸一杯に抱きながら、日中友好協会訪中団の一員として初めて中国を訪問。当時、中日両国の間はまだ国交を回復しておらず、直行便もなかったことから、一行は香港経由で入国し汽車で北京へと向かいました。当時、大陸の生活は非常に低い水準にありましたが、「中国は広大で資源が豊かであり、国民は非常に質朴で、若者ははつらつとしていて、非常に忘れがたかった」、というのが中西教授の初訪中の感慨です。その後、10回以上も中国を訪れていますが、そのたびに新たな収穫があった、と感慨深げに話していました。

中西泰洋(前列から右3)教授と留学生たち

中西教授は高校で国語を19年間教えた後、93年に外国人留学生に日本語を教える道へと転身。神戸大学、神戸YMCA学院、神戸学院女子短期大学などで講師、教授を歴任し、主に中国人留学生向けの中・高級日本語課程を担当したほか、大阪YMCA専門学院と神戸YMCA専門学院で日本語教師を養成する講師を務めました。研究熱心で、仕事を大切にし、加えて豊かな経験を生かすことで、留学生への日本語教育・指導で独自色を打ち出しました。

 

中日両国は漢字を用いているため、中国人留学生にとって日本語学習は便利なところがある反面、難題、即ち、日本語を学ぶ場合に注意が多少でも足りないと、漢字で日本語の文章を判読しようとして、漢字がもたらす誤りに陥りやすいことがあります。中西教授はこうしたことから、中国人留学生を対象にした一連の教育方法を検討、編み出しました。教授は「中国人が日本語を学ぶ際には、常に自らに『自分は日本語を学んでいる』のだということを自覚させる必要がある。でなければ、知らず知らずのうちに中国語で考え、理解するようになってしまう。日本語の漢字を理解するのだという意識を持たせるには、日本語の当用漢字と中国語の漢字との差異を詳細に観察しなければならない」と話しています。教授は読んだり、書いたりと、実践を第一にし、そして徐々に日本語で考えるようにさせることが必要で、ただ読んで分かるだけではいけない、と提言しています。そのため教授は、主に中国人留学生を対象にした日本語テキストを編集。教室で試用されると、留学生の多くが分かりやすいと感じるようになり、しかも深く突っ込みながら簡単にまとめる講義方法も、高い評価を得ました。

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