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中国の防砂植林と貧困撲滅で戦い続ける板垣敏秀
発信時間: 2009-12-16 | チャイナネット

貴州省や雲南省は、険しい山間地や外界から隔絶した貧困村が多い。この辺鄙で荒れ果てた場所で経済林を植えて自然環境を保護し、地元の農民の収入を増やす事業を繰り広げているのが、園芸家の板垣敏秀さんだ。

 

「防砂植林100年」の組織を発足

板垣さんは1970年に園芸会社を設立し、世界の珍しい植物を日本に紹介してきた。珍しい植物を求めてよく中国を訪れていた板垣さんだが、内モンゴル自治区や山西省、河北省で荒涼たる大地に強風が吹き荒れ、生き物が近づけないほど厳しい自然が広がっているのを目にし、この厳しい環境を改善したいと強く思った。

板垣さんが設立したCRM研究所は2006年8月、中華全国青年連合会と共同で生態緑化協力計画「防砂植林100年」を発足。この計画は、植林活動をメインに日本企業や社会各界の人たちの協賛を得て、農民の経済的な自立支援を通して中国の農村地域全体の発展を促し、アジアの従来の自然環境を回復させるのが目的だ。

 

100年をかけて黄土高原を「緑」に

中国の黄土高原の黄砂は、周辺諸国を脅かし大気汚染などに深刻な影響を与えている。そのため板垣さんは、100年をかけて黄土高原を「緑」にしようと考えた。

しかし実際、現地に行って気がついたのは「日本の面積の6倍もの広さの黄土高原を一気に緑化することは大変で、世界中の人が1年や2年かけても無理だし、資金上の問題も厳しい」ということだった。そして様々な現地調査で最終決定したのが「経済林」の植樹だ。

企業に経済を伴わない投資を理解してもらうのは難しい。「経済林」なら見返りがあるために投資する人も意欲がわく。こうした方法で余剰資金が出てから黄土高原の緑化をしても遅くはないと、板垣さんは新しい100年計画を立てた。

 

ヤトロファとの出会い

ヤトロファはアフリカ原産の木で、中国の貴州省や四川省、雲南省などに分布し、厳しい自然や干ばつに強く、防砂植林にはぴったりの木である。そしてもっと重要なのはその「経済性」だ。ヤトロファの種は油分が多く、石鹸や潤滑油、農薬、下剤、肥料の原料になり、現在はバイオディーゼル燃料 (BDF)の原料として注目されている。

板垣さんがヤトロファの木を知ったのは、2006年の春に南米のアマゾンで原生林を世界中に輸出していた三井物産の板さん(71歳)に会ったのがきっかけ。板さんは原生林を伐採していたことから、どうにか罪滅ぼしをしたいと考えていた。そして板さんは、干ばつに強い植物で油が取れるヤトロファを、中国や東南アジアに植えようと板垣さんを誘った。

そして板垣さんは、日本の中国大使館で働く貴州省出身のある公使の紹介で7月、中華全国青年連合会を窓口にその年の貴州省へ現地調査に行ったが、その時はまだ植林に対して知識が乏しく、特にヤトロファという木についてのデータはどこにもなかった。

心細い思いながら地元の林業局の協力で、貴州省南部の約6万6000ヘクタールの土地を20年間契約し、地元農家の手を借りてヤトロファの栽培をスタート。そして2007年1月には貴州省羅甸県には50万本のヤトロファが植えられた。

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