そしてここ数年、カラオケの次に代表的な若年層のレクリエーション交流手段となったものは、『殺人遊戯』とよばれるゲームです。中国内ではもともとは、MBAビジネススクールでの社会人教育コミュニケーションゲームが発祥云々といわれることもあれば、ヨーロッパの伝統ゲームとされることもあります。『殺人遊戯』という言葉を額面通りに日本語で解釈するとなんだか猟奇的で悪徳な犯罪行為のイメージがわいてしまいそうな『殺人遊戯』でありますが、なんてことはない、簡単に言ってしまえば、カードなどの道具を用意せずにお手軽に遊べる、推理ゲームのことです。友人同士が集まって遊ぶ際の簡単な計画表(?レクリエーション予定表)に「○月○日○時~ カラオケに行き、みなで『殺人遊戯』で遊ぶ」などと書かれていることもあったりします。
ちなみに、この『殺人遊戯』というのは中国だけのゲームではありません。同じようなゲームルールで、世界それぞれ地域ごとにローカルルールはあるものの、欧米では「Are you a werewolves?」というパッケージ化されたゲームが火付け役で有名になり、日本では、「汝は人狼なりや?」「人狼ゲーム」としてローカライズされています(厳密には、『殺人遊戯』と「人狼ゲーム」のルールはかなり異なりますが、推理コミュニケーションゲームと捉えると極めて近似したゲームです。)。さきほど、カードなどの道具を使わずに遊べると記しましたが、ゲームのルール書とゲーム内での役割を表したカードなどが丁寧に入っているものがパッケージ版として欧米や日本で発売されているわけです。
中国での『殺人遊戯』は、あまりこのような市販のパッケージ版を用意して遊ばないようでありまして(簡単なルールのゲームにお金を払う価値は無いと思っている。)、みなさんルールをなんとな~く理解していて、なんとな~くゲームの始まる前にローカルルールのすりあわせをして、「それじゃぁ始めましょう!」という感じでゆる~くスタートするようです。このゲーム、はっきりいって、外国語(中国語)を学び始めた外国人には「殺人的」です(笑)。 何が殺人的かといいますと、このゲームの基本コンセプトはコミュニケーションを楽しむゲームでありまして、嘘をついたり、ポーカーフェースで議論に参加したりすることで、プレーヤーを欺きながら勝利をしていくゲームであります。ですから、ゲームで使用される言語がパーフェクトにできた上で、微妙な言葉のイントネーションを見分けながら、「嘘かそうでないか」を見分けなければならないからです。