安倍首相は解散総選挙を突如発表し、野党の意表をついた。野党は安倍首相の政治のリズムに踊らされるしかなく、政治的な罠にはまったと言える。連立政権を組む自公両党が衆議院の3分の2の議席を占めたが、これは想定の範囲内だった。
安倍首相の政権運営は、依然として課題に直面している。アベノミクスが国民に対して、目にでき実感できる国民生活の改善を示せるかが中心的な問題だ。安倍首相本人も、昨年末にアベノミクスを国際社会でPRした意欲を失っており、67点で何とか合格と自己評価した。
内政を楽観視できないが、選挙の勝利により安倍首相は自信を深めた。特に中日関係については、十分に注目に値する。
中国は今年以来、抗戦記念を特に重視しており、中日関係における歴史問題の厳しさを際立たせた。この構造的な食い違いによるもつれは、安倍政権によってもたらされたものだ。ゆえに歴史を正確に認識することが、中日関係のもつれを解消する鍵になる。続投する安倍首相は歴史問題で発言と行動を慎み、その言行により混乱を招き、中日関係をより深い矛盾の渦の中に陥れることを避けなければならない。中日関係は長年に渡り波乱を経ているが、中国はすでに日本の政治の道を理解している。中国は安定した日本政府との交流により、中日関係を正常化の軌道に導こうとしている。この論理に基づき、安倍政権も情勢に応じ、中日関係の改善に向け行動するべきだ。
中日関係は岐路に立たされている。志を持つ政治家として、安倍首相は中日関係で進展を実現しなければならない。理想的な外部の環境がなければ、内政も安定化しない。日本では右翼の雰囲気が濃くなり、景気も低迷しているが、これは右翼の理念を持つ安倍首相が就任した原因だ。安倍首相の内政において、アベノミクスは当初まずまずの効果を発揮したが、3本目の矢を放つ頃にはすでに勢いを失っていた。しかし安倍首相は今回の衆院選で、集団的自衛権の行使容認といった物議を醸す政策を軽率に取り上げられず、経済問題で主張を展開した。
客観的に言えば、中国もアベノミクスの成功を願っている。中国は日本の隣国と貿易相手国であり、日本経済がデフレ・停滞の泥沼から抜け出すことは、中国経済と世界市場にとってプラスになるからだ。アベノミクスが大きな効果を発揮せず、民意から反発があれば、安倍首相はナショナリズムにより任期を全うすることになるかもしれない。これは日本経済と中日関係にとっての災いだ。
ゆえに安倍首相は衆院選の勝利により続投する場合、政治と経済、歴史と現実、中日関係の3つのバランスを把握しなければならない。特に中日関係のリバランスが当面の急務だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年12月16日