進修生として復旦大学に留学した中島さん。半年という短期間だったが、上海にすっかり魅了された(写真提供:中島大地)
中国理解を深めたきっかけは、中国語の習得だけではなかったようだ。「Panda杯のおかげです」と中島さんは言う。応募した作文がみごと受賞、のちにボランティアとして運営に関わった。受賞者として訪中交流に参加した際は、本物のパンダにも会えた。何より素顔の中国との出会いは欠くことのできない財産だったと言う。その後もボランティアとして関わり続けたのは、中国語や留学での知識を活かし、中国と日本の友人たちの交流を結ぶ懸け橋になりたかったからだ。
習主席からの返信を受け取った喜びが落ち着くにつれ、中島さんはこの返信が自分だけに寄せられたものではないと感じるようになったと言う。「今年の『Panda杯』に参加して習主席への寄せ書きを送った若者、Panda杯関係の若者、そして日中交流に関わる全ての若者はもちろん、このメッセージは日本の若者全てに向けられたものだと、今は考えています」
若者に託された友好の礎
取材中、中島さんの口からは「信じられない」という言葉が頻繁に飛び出したが、「日中交流」の言葉がそれを上回っていた。
G20開催前日、日本のメディアは習主席と安倍首相が中日関係について「『永遠の隣人』と位置づけられている」と繰り返し述べたと報じた。また、両国首脳による10のコンセンサスには「青年交流の強化、相互理解の増進、民心疎通の促進」が含まれている。1992年生まれでまさに青年と呼ぶにふさわしい中島さんはその決定について、「日本と中国は永遠の隣人であることは、将来に至っても変わることがない事実です。日中両国は元々地縁があり、似通った文化を持つ国同士であり、交流と相互理解はとても大切なことです。今後、文化や若者などの方面での交流がより深まっていってくれればと思います」とコメントした。