孤独問題が近年、日本社会で特に注目されている。国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、日本の単独世帯は2050年に総人口の44.3%を占める。「週刊東洋経済」は11月16日、「超・孤独社会」の特集を組んだ。政府がこの問題を直視し、対応し始めたことが分かる。
「孤独死」は孤独問題の極端な現れ方で、独居者がアクシデントや急病などにより一人で亡くなり、一定期間後に遺体が発見されることを指す。今年1−6月には65歳以上の高齢者2万8330人が自宅で孤独死した。この現象は特に一人暮らしの高齢者が深刻だ。日本の高齢化率は大幅に上がっており、23年には29.1%にのぼった。
孤独死は高齢化社会の産物と見る人が多いが、実際の問題は「無縁社会」がもたらす人と人の関係の危機にある。日本文化は長期的に「迷惑をかけない」ことを強調しており、この文化は人の交際に根ざしている。人と人がますます疎遠になり、孤独感が生じる。都市化と少子化が急速に進行する中、家庭や隣人の関係が徐々に希薄になり、個人主義が強まり、孤独の現象をさらに激化させている。
孤独問題は日本だけのものではない。英国は18年に世界初の孤独担当大臣を置いた。「ランセット」は23年の記事で、孤独はすでに公衆衛生問題になっているとし、全社会でこの現象に注目することが極めて重要と強調した。
日本政府は近年、孤独問題への重視を強め、国策にまで引き上げた。21年には孤独・孤立対策担当大臣を置き、「孤独・孤立対策担当室」を設置し、23年には「孤独・孤立対策推進法」を成立させた。同時に地域コミュニティは早期警戒メカニズムを積極的に構築し、孤独死を防止している。このコミュニティの取り組みは関係を再構築し、隣人の交流を強化し、高齢者のコミュニティ活動への参加を奨励する。さらに定期的に自宅を訪問し、互助チームを作ることで、一人暮らしの高齢者を支援する。
これらの政策は一定の効果を発揮したが、単身社会、独居社会、高齢社会における孤独の現象をさらに観察する必要がある。孤独死の問題を解消するためには、孤独の解消も重要だ。現代社会において、孤独は払拭できない心理状態になっている。コミュニティを再構築し、人と人の関係を強化し、かつ孤独な人により良い社会保障を提供することが対策になるだろう。(筆者=師艶栄・天津社会科学院アジア太平洋協力・発展研究所副研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年12月3日