日本のトヨタ自動車は先ほど、中国の上海でレクサスブランドのEV及び電池を研究開発・生産する企業を全額出資で設立することを決定した。これは米国が世界に関税の棍棒を振る中で、日本の中国に対する最新の大規模投資と言える。トヨタの重役は、研究開発から製造までを一体化させ、中国人に好まれるEVを生産すると表明した。トヨタのこの大きな動きは、同社が中国新エネ市場で大いに力を発揮し、時代と共に進み、ガソリン車の苦境から脱し、中国市場を利用し再生を目指すことを意味する。
発展の観点から見ると、トヨタの意思決定には戦略性がある。ガソリン車販売の低迷は確かに重要な理由だが、中国EV市場の見通しがトヨタに自信を与えたことも重要だ。また世界の地政学的な変動により、トヨタは再び中国に目を向けた。米国の関税の棍棒はまず、隣国のカナダとメキシコに振り下ろされた。一時延期されているが、ひとたび実施されればトヨタも衝撃を受ける。カナダとメキシコでも工場を構えており、かつ主に米国に輸出しているからだ。トヨタが同2カ国で生産する自動車は、日本の米国での自動車販売台数の24%を占めている。中国はトヨタ及び日本企業が今後生存し発展するための広い空間を持つ。トヨタが中国で投資するEV生産ラインは中国市場の需要を満たすだけでなく、将来的には生産拠点に限りがある欧州にも輸出できる。これはトヨタの中国新エネ車産業における重大戦略を示すものだ。
これはまた、中日の経済協力がウィンウィンの選択であることを再び証明した。トヨタの今回の投資は上海で1000人以上の雇用を創出するだけでなく、さらに中国の新エネ車技術の進歩と、中国自動車産業のモデル転換及び高度化を促し、消費者により多くの選択肢をもたらす。トヨタのこの措置は水素エネルギー、自動運転、電池再利用などの技術の面で、2060年までにカーボンニュートラルという中国の目標達成を後押しする。今回の投資を通じ、トヨタの生産ライン、生産効率、製品の品質、先進的な電池技術の研究開発及び導入、EV用電池の航続距離及び充電速度の向上に期待できる。
これはトヨタが初めて中国で全額出資で設立・経営する企業であり、外資全額出資としては2社目のEV企業だ。中国での全額出資による生産が成功すれば、トヨタ製EVの世界的な競争力も高まる。トヨタは上海市金山区を工場設立先として選んだが、これは深い熟慮の現れでもある。金山区は上海の重要な産業拠点として、優れた産業関連施設、秀でた地理的位置、便利な交通運輸条件を持つ。これは工場の建設と経営に非常に有利だ。上海市政府は新エネ車産業の発展を力強く支援しているが、これもトヨタに良好な投資環境を提供する。
中国は高水準の開放を持続的に拡大する。中日の協力にはまだ潜在力が残されている。(筆者=廉徳瑰・上海外国語大学日本研究センター主任、教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年2月7日
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