日本の学者は、「トランプショックがやはり来た」とため息をついた。日本の石破茂首相の訪米「成功」から1カ月もたたないうちに、米国は日本に矛先を向け、米日の防衛関係、関税、為替レート問題について日本に圧力をかけた。日米の「新たな黄金時代」の今後に、早々と暗い影を落とした。トランプ氏は「米日安保条約」は一方的と攻撃し、「米国は日本を守るが、日本は米国を守る必要がない」ことに不満を示した。さらにこれを対日貿易赤字と結びつけ、防衛費の増額もしくは貿易の譲歩により「不均衡」の埋め合わせをするよう日本にほのめかしている。この安全の約束と経済・貿易の利益を括り付ける発言は、同盟国との関係を道具として利用する論理を示した。これは軍事保護を駒とし、日本に対して経済・戦略面で米国の利益の需要に服従するよう迫るものだ。
トランプ政権発足後の米国の対外政策の急激な転向に伴い、冷戦後の国際秩序は劇的な挑戦を迎えている。世界の大変動及び中米の駆け引きの新たな動きを受け、日本の「大国戦略」は次の3つの試練に立たされている。(1)戦略の自主性を実現できるか。先頭に立って国際ルールを破壊し、一国主義、保護主義、拡張主義で他国をいじめる米国に対して日本は「ノー」と言えるか。実際の行動によって世界の公平と正義を守れるか。(2)習慣的な依存を断ち切れるか。米国の新政権発足後の行動はすでに、米国の安全の約束と盟主としての信用はもはや信頼できず、いかなる同盟国であっても恣意的にいたぶりディールする対象になり得ることを示した。日本が米国への高度な「忠誠」と中国抑制の「戦略的価値」により特殊な待遇を受けられると考えるならば、それは独りよがりの幻覚に過ぎない。(3)戦略的な冷静さを保てるか。米国の「ディール外交」は日米「黄金時代」の輝きを奪い、同盟関係の脆弱性を露呈した。日本にとってこれは危機であり、転機でもある。国家安全と経済の利益を米国への従順に託すならば、大国の駆け引きの犠牲になるだろう。自主性により外交の座標を再構築することで初めて、多極化する世界における自国の戦略的価値を最大化することができる。
日本の今後の外交は、中国と米国に対する戦略的方針によって試される。「米国の勝利」に賭け続け、米国と共に中国抑制にこだわるのか、それとも中国と米国の間で衝突を和らげ平和を促す「バランサー」としての役割を演じるか。これは日本の戦略的な知恵が試される、日本の前途と運命に関わる問題だ。(筆者・項昊宇=中国国際問題研究院アジア太平洋研究所特別研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年3月10日
![]() |
![]() |
![]() |