中国の歴史や国情を紹介すると、もしかすると外国の人は総体的経済という観点から見て、中国は強大になっていると感じているのかもしれないが、中国人は衣食住のために奔走する段階をやっと過ぎたばかりで、国民一人当たりの国民総生産(GDP)も世界の平均水準を下回っている。一般人が目にしているのは現実的な格差と課題で、自分の国の国際的な地位に対して冷静な判断を下している。座談会では、「『中国の夢』には、国民一人ひとり、各家庭の素朴な願いと国が目指す現代化の目標が含まれている」「『城鎮化(都市化)』がさらなる発展の原動力となり、『法治国家の構築』が今後の改革・発展の保障となる」「中国の発展のためには、世界との協力が必要で、世界もそれにより多くのチャンスを得ることができる。中国の国際的責任は、平和を維持し、協力を推進することなのだ」と説明した。
同シンポジウムの会場内外、学術界、企業界、学生、いずれにしても中国人の生の声に大きな関心を寄せていた。しかし、辛辣で手厳しい見方を持つ人もいた。しかし、そのような人が得ている情報は偏っているようだ。例えば、釣魚島(日本名・尖閣諸島)をめぐる紛争に関して、中国の態度は強硬すぎるとか、強国が弱い者いじめをしているという見方もあった。また西蔵(チベット)自治区の今と昔に関して全くの無知であるにもかかわらず、「民族浄化」を疑う声が絶えない。でたらめの情報は、絶え間なく出回ると、人々はそれを信じて疑わないようになり、結果、中国に対して、中国がさらに多くの国際的責任を担うことを強く望む一方、中国に対しては大きな懸念と不安があるという心理状態になる。また、中国の成果に驚嘆する一方、中国には多くの間違った点があるという考えもある。多くの人は、中国で今年発足した新政権や新指導者がどのような思想や観点を持っているのかに大きな興味を抱いているが、一方でそのような人から出る推察や質問は完全に偏った見方を出発点としており、現実とはかけ離れていることが多い。
異なる視点で映し出される中国の姿が重なり合うことはない。実際、中国人の見方もかなり多元化しており、中国がまさに発展途上にあるという現実を映し出している。成果が大きければ、直面する困難や課題も多くなるのだ。ただし、外国の人々が一方的に偏った観点から中国を観察していれば、その全体像をつかむことはできない。さまざまな視点で映し出される中国の姿をいかに少しずつ重ね合わせていくか。そのためには、外国の人々が中国の歴史や現実に対して正しい認識を持つこと以外に、中国人が世界に自分達に関する情報を発信していかなければならない。それを成し遂げるために、我々は国際的な意識を向上させ、国際的な視野を広げなければならない。同シンポジウムでは、真正面からぶつかってくるさまざまな偏見に直面し、自ら手を挙げて中国のことを紹介し、敬意を勝ち取っていた中国人学生もいた。彼らからは、自信に満ちた若い世代の輝きを感じた。そのほか、発展途上国や中国について理解する参加者からも、西洋諸国が抱いている偏見に対する苛立ちの声が聞こえた。さらに中国人の生の声をもっと聞きたいという参加者もいた。このように、中国を理解するために意思疎通を望む声も大きくなっている。(作者 第12期中国全国人民代表大会常務委員会委員、外事委員会主任委員 傅瑩/編集KN)
「人民網日本語版」2013年5月10日