米経済誌フォーブスがこのほど発表した過去1年間のスポーツ選手高額所得ランキング(上位100名)で、中国からは唯一李娜が、試合成績は平凡だったものの賞金320万ドルに商業スポンサー収入の1500万ドルを加えた1820万ドルで86位に入った。人民日報海外版が伝えた。
1位はゴルフの帝王タイガー・ウッズで7810万ドル、2位はスイスのテニス王ロジャー・フェデラーで7150万ドル、3位はNBAのビッグスター、コービー・ブライアントで6190万ドルだった。中国は世界で最も登録スポーツ選手の数が多いが、上位100名に入ったのは李娜だけだった。
李娜は全仏オープンで惨敗したうえ、「まさかテニスファンに土下座しなきゃいけないの?」との発言でなおさら批判にさらされ、大々的な報道の的となった。だが李娜が勝とうと負けようと、スポール界におけるテニスのプロスポーツ化の程度の高さは言うまでもなく、他の圧倒的多数の種目を赤面させるほどだ。彼女がここまでこられたのは、まさにテニスの市場化、プロスポーツ化のおかげだ。スポーツ選手高額所得ランキングの上位3位であるゴルフ、テニス、NBAはいずれも商業化、プロスポーツ化、市場化が極めて進んだ種目であり、この「三化」が進むほど、選手の所得は高くなるのである。
この現象は中国のスポーツ関係者に見るに忍びない現実を突きつける。われわれはスポーツ大国であり、卓球、バドミントン、飛び込みといった種目を毎年制し、1984年から現在までのオリンピックで210個もの金メダルを勝ち取った。だが依然としてスポーツ強国ではなく、金メダルの輝きが照らし出すのは、中国スポーツの市場化レベルの低さなのである。
現在世界のメインストリームのスポーツ種目は市場経済の法則の下、最も活力を持つ世界経済の一部となっている。娯楽性の高さ、競技水準と試合運営水準の高さがその顕著な特徴で、対外発信能力が高く、世界規模で徐々に影響をもたらしている。中国がスポーツ強国になるには、3大球技のプロスポーツ化は言うまでもなく、それ以上に陸上球技、水泳、自転車、アルペンスキーなどの種目で中国の声を発信することを身につけ始める必要がある。こうした種目は長い歴史を持つ、または世界の注目する、スポーツ界で尊重される種目だからだ。「観衆の少ない女子種目、人気のない種目、あるいは中国人やアジア人ばかりが好む地域性の強い種目ばかり強くては、世界のスポーツ強国になるのは不可能だ」と、国家体育総局の肖天副局長は指摘する。
これほどスポーツ市場が巨大で、スポーツ資源が豊富なのに中国が損をしているのは、市場化を始めるのが遅すぎたからだ。中国サッカーは他の種目に先駆けてプロリーグ化を実行し、中国のスポーツ産業化のリーダーとなった。成績は満足のいくものではないが、バスケットボール、バレーボール、卓球、そしてスポーツくじの発行にとって参考対象になっている。体制上の多くの制限、経験不足など多方面の原因から、中国スポーツの市場化への道は順風満帆とはいかない。これはスポーツ資源が完全に市場化されておらず、スポーツの経済機能、産業機能が十分に開発されていない点が大きい。サッカーやバスケットボールといった中国ですでにプロリーグ化された競技も、スポーツ主管当局の行政管理と過度の干渉を我慢せざるを得ず、本当に市場化された運営を行なうことはできない。このため、いずれともつかないものになり、見た目はプロリーグでも試合の水準は高まらず、産業化の程度も低い。
西側のスポーツ強国では、スポーツ産業はすでに柱となり、市場化の水準の高さによってスポーツと経済の融合、そしてそれによる収益を見せつけている。スポーツ強国は「中国の夢」というジグソーパズルの大切なピースだ。中国が世界のスポーツ強国へと踏み出すには、いくつかの種目や金メダルの数だけを見ていてはだめで、競技スポーツ全体の総合発展力を高め、行政方式を改革し、行政による干渉を減らし、「三化」の程度の引き上げに力を入れなければならない。種目構成・発展におけるバランスがポイントだ。
フォーブスのスポーツ選手高額所得ランキング
1位 タイガー・ウッズ(ゴルフ) 7810万ドル
2位 ロジャー・フェデラー(テニス) 7150万ドル
3位 コービー・ブライアン(バスケ) 6190万ドル
4位 レブロン・ジェームズ(バスケ) 5980万ドル
5位 ドリュー・ブリーズ(アメフト) 5100万ドル
6位 アーロン・ロジャース(アメフト)4900万ドル
7位 フィル・ミケルソン(ゴルフ) 4870万ドル
8位 デビッド・ベッカム(サッカー) 4720万ドル
9位 クリスティアーノ・ロナウド(サッカー)4400万ドル
10位 リオネル・メッシ(サッカー) 4130万ドル
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86位 李娜(テニス) 1820万ドル
「人民網日本語版」2013年6月20日