12日早朝、新疆維吾爾(ウイグル)自治区の安涛さんが、「妻が感電死した」と、同自治区昌吉市公安局に通報。警察が駆けつけて見ると、馬愛倫さんが既に亡くなっていた。また、充電中の米アップル社のスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」が馬さんの首の右側にあり、その周囲の皮膚が焦げていたという。その後の鑑定で、馬さんの首から左足にかけて、通電した痕跡がはっきり確認された。安さんによると、「馬さんの右手の親指と左足の親指の第一関節が、焼けてなくなった」。人民網が報じた。
中国南方航空の客室乗務員で、乗務長を目指していた馬さんは、安さんと来月8日に結婚式を挙げる予定だったにもかかわらず、帰らぬ人となってしまった。
安さんと馬さんは高校時代の同級生で、高校卒業後、馬さんは同自治区のウルムチ市にある大学に通いながら、南方航空の客室乗務員試験を受けていた。そして、2013年、正式にキャビンアテンダントになった。一方、安さんは、故郷の昌吉市に残り、タクシードライバーをしている。また、実家が経営するレストランが忙しい時には、手伝いをするなどして、結婚費用を一生懸命貯めていた。
「90平方メートル(約27坪)の新居も買った。彼女が好きな家具も選び終わり、来週に買いに行く予定だった。結婚してから、車も買い、子供も作る予定だった。彼女は男の子がほしかった」と、手で顔を覆いながら語る安さんは、どこかうつろだった。
また、馬さんは節約家で、ハネムーンも家族にお金を出してもらうことは考えず、マイホームの内装も自分でできることは自分でして、今後の生活のためにお金をできるだけ残しておこうと安さんに話していたという。それでも、仕事で他の地域に飛んだ際には、必ず安さんにお土産を買ってきたといい、幸せな安さんを周囲の友人たちが羨ましがっていた。
安さんは、「こんなに長く一緒にいるのに、今年初めて2人で、人気の映画を数本見た。彼女はとても満足そうだった」と、もっといろんなことをしてあげれば良かったと、自責の念に駆られている。
馬さんは、何事にもまじめに取り組む人で、仕事に遅れないため、携帯の目覚ましをセットして、よく枕元に置いていたという。「しなければならないことは、どんなことをしても成し遂げ、できるだけミスがでないようにしていた」。それでも今回、枕元に携帯を充電していたことが、命を落とす原因になってしまった。
馬さんのお葬式には、友人100人以上が駆け付け、馬さんの生前の人柄を示していた。
安さんは目を真っ赤にしながら、彼女は本当に物分かりがよく、ほかの人の益を考えられる女性だった」とし、街の中やバスの中で、この事件のことを話す人を見るが、「彼女のことを悪く言われるのは耐えられない」と語った。現在、安さんは昼間、馬さんの父親の手伝いをし、夜になると一人で家に帰っている。そして、夜中に、彼女の写真を見ながら、受け入れられない現実と闘っている。
ここ数日、妻のために何ができるかを考えて眠れないという安さんは、「彼女が亡くなってしまったので、僕には彼女の両親を世話する責任がある。今後、彼女の両親を本当の親のように世話する」と語った。
16日の時点で、同事故は社会の大きな注目を集めている。現地の警察は、馬さんは全身が感電したために亡くなったことを確認した。安さんは、「アップルに説明を求める」と確固とした態度で述べている。
「人民網日本語版」2013年7月18日