現在、我が国は「文化輸入超過状態」にある。中国文明の歴史は古く、文化資源が非常に豊かであるにも関わらず、この「文化ソフトパワー」をうまく輸出できていない原因を、我々は今一度探ってみる必要がある。韓国ドラマ『星から来たあなた』は爆発的人気を集め、その人気ぶりは一種の社会現象を引き起こし、その話題は今年の「両会」にまで挙がることとなった。新華網が6日伝えた。
5日午後、王岐山委員が北京代表団の「政府活動報告」の審議に参加した。張和平(全国人民代表大会代表、北京人民芸術劇院院長)委員が中国の人文・芸術に関する今後の展望と課題を述べた後、王委員は、「私も時折韓国のドラマを見ますが、韓国のドラマが我々の先を行っていることに気づかされました。韓国ドラマの核心とスピリットは、まさに伝統文化が昇華されたものだったのです」と述べた。
王委員は読書家で、『公正』、『大清相国』、『旧制度與大革命』といった書籍を同僚に薦めることもあるという。また、王委員は大の米国ドラマファンとしても知られ、以前中央規律検査委員会の幹部に米国の政治ドラマ『House of Cards(邦題:ハウス・オブ・カード 野望の階段)』を紹介し、「劇中の『Whip』の役割をとても重視している」と話したという。米国ドラマを追いかけ、韓国ドラマを好んで観賞する王委員は、「流行の最先端を行く代表委員」と呼ぶことができるだろう。
王委員が言及した韓国ドラマ『星から来たあなた』が一世を風靡したことは、ある一定レベルにおいて韓国が文化マーケティングに成功し、ソフトパワーが生き生きと体現された証拠だといえる。しかし、王委員がこのドラマを「両会」で言及したことを単にお茶の間を盛り上げる面白可笑しいゴシップとして片付けるべきではない。王委員は「韓国ドラマの核心とスピリットは、まさに伝統文化が昇華されたもの」という部分を強調しているのであって、娯楽界に限らず、実はすべての中国人が思慮するべき事なのだ。かつて韓国ドラマ『大長今(邦題:宮廷女官チャングムの誓い)』が中国で人気を博したのは、そのストーリーが人々の奮起を促し純粋な愛を描写していたからではない。孔子、孟子が説いた五常(仁・義・礼・智・信)や伝統的な調理技術、医術といった文化が劇中でクローズアップされ、気づかぬうちに見る人に文化のエネルギーを与え、中国人の心が自然と受け入れることができたからだ。つまり、韓国ドラマが人気を集めるのは、彼ら製作チームに優れた製作理念、鋭い市場分析力があり、何より倫理・道徳を重視し、それをストーリーと韓国文化の特色にうまく融合することができるからなのだ。倫理・道徳を文化商品として輸出する、彼らのその卓越した手法を、我々も学び参考にしていくべきである。
我々はどんなドラマを韓国に輸出できただろうか。現在、対外舞台演劇は廉価な交渉を余儀なくされ、図書輸出入比率は約10:1で、業界では「中国5千年の文明もハリウッドに敵わない」とも嘆かれている。「輸入超過状態」から抜け出せず、悠久の文明、豊富な文化資源がよりよい形で輸出できないことは、誰もが思慮すべき課題なのだ。
文化商品は世界に「売り出す」ものではく、「送り出す」ものだという声が聞かれるが、まさにその通りだ。良い商品であるならば、自信を持って送り出していく必要がある。伝統文化が新たな輝きを放ち、消費者のニーズに合致したとき、必ずや歓迎されることだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年3月6日