環球時報の記者は23日夜、やっとの思いで南京ユースオリンピックスポーツセンターで記者席に着席したばかりで、観衆の割れんばかりの拍手を耳にした。日本の体操選手・湯浅賢哉が競技を終え、14.133点の成績により銀メダルを取得したのだ。湯浅は試合後、「難易度は高くなかったが、完成度は理想的で、世界に日本の体操の美を示すことが出来た」と微笑みながら語った。湯浅が自分のパフォーマンスに満足できたことが分かる。
高水準の競技は、人々に美の楽しみをもたらす。人類の身体的な美を示す体操ならば尚更だ。しかしこれまでネット上では、南京ユース五輪の男子個人総合で、湯浅があん馬で転落し、「会場から割れんばかりの拍手と歓声があがった」という情報が流れていた。この日本の体操選手がやじを浴びたという誤報がなければ、記者が現場に駆けつけ湯浅の「日本の体操の美」を見ることもなければ、中国人の観衆の体操に対する熱意を肌で感じることもなかっただろう。
環球時報の記者が試合後、NHK、共同通信社を含む3人の日本人記者に質問したところ、やじを浴びたという情報は聞いたことがないと回答された。そのうち当時現場にいたという一人の記者は、「そのような感覚は全然なかった」と述べた。
中日関係が悪化しており、小さな火種でも「大火事」を起こしうる状況となっている。この誤報が大問題にならなかったのは、五輪精神が力を発揮したからかもしれない。五輪憲章は、スポーツと政治を分離するよう明記している。南京の観衆は、歴史的な感情を五輪ユースの競技場にもたらさず、試合そのものに感情移入し、ため息を漏らし歓声を上げた。彼らは勝敗に関わらず、各国の選手を心から祝福した。これは五輪精神を示すものだ。
山口茜はバドミントン女子シングルスの銀メダルを取得した。決勝の相手は、中国人選手の何氷嬌だった。山口は南京ユース五輪の印象について、「試合と開催場所は関係がない」と回答した。日本オリンピック委員会は事前に、選手にユニフォームを着て外出しないよう注意を促していたが、一部の措置が考え過ぎであったことが、事実によって証明されている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年8月25日