「外に愛人がいれば、自分が悪いと思い夫や子供に良くしてあげられる。そうでなければ、夫のパンツなど誰が洗いたがるだろうか?」中国のネットユーザーから「世界観・価値観・人生観が破壊された」と称され、日本でも「不倫を勧めている」として物議をかもしている「昼顔」は、今年最も話題の日本ドラマだ。
ドラマは一般的に放送開始時に最も期待され、第1話の視聴率が高くなるが、視聴率を伸ばし続けるのは困難とされている。しかし昼顔は例外だ。第1話の視聴率は13.3%と平凡だったが、その後徐々に視聴率を上げ、最高で16.7%に達した。全11話の平均視聴率は13.9%で、木村拓哉主演の「HERO」に次ぐ水準となった。これほど批判を集めたドラマは、なぜ視聴者の心をとらえたのだろうか?日本のベテランドラマ評論家の木村隆志氏が、その原因を分析した。
現在、視聴率を支えているのは主婦と中高年層だ。昼顔はキャラクターやストーリーの設定で、主婦にターゲットを絞った。既婚者の上戸彩と出産したばかりの吉瀬美智子を「不倫主婦」にキャスティングし、視聴者に意外な感覚を与え期待を煽った。違った男の魅力を持つ斉藤工と北村一輝は、「主婦キラー」だ。不倫がバレる、バレなかったというストーリーだけでもハラハラさせられるが、不倫は是か非かという曖昧な表現も心に強く働きかける。主題歌はカラオケで主婦に支持される一青窈が歌った。主婦の目を引き付けるため、フジテレビは綿密に計画を立てていた。
注目度は高いが、ドラマのせいで不倫する人が増加するとは限らない。多くの主婦は真面目に生活しており、昼顔は覗き見をするような感覚と刺激を得るための娯楽に過ぎないだろう。主婦はそれほど馬鹿ではなく、ドラマを理由に行動に移す人はいない。
本作品は女性視点ではあるが、男性の視聴者は女性の心理をよく理解することができる。紗和の独白は、恋愛中の女性の心理を示している。利佳子がなぜ怒るのか、なぜ悩むのかを理解できれば、女性を完全に理解できるかもしれない。最終回では2人の主婦が浮気によるいざこざを処理したが、これは男性にとっても参考の価値がある。
このような主婦をターゲットとした、主婦が主人公のドラマは少ない。昼顔の成功により、今後は主婦向けの作品が増加すると予想できる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年9月30日