飛行機の中で騒ぐ、観光地の土産物を拝借する――こうしたの旅行客のマナー違反は今後が記録され、管理されることになる。
中国国家旅行局はこのほど、旅行客のマナー違反をランク付けして記録する「旅行客のマナー違反に関する記録管理規則」を今年から運用すると発表した。航空会社や旅行社、ホテルなどと連携して、旅行客のマナー違反を通報し責任を追及するメカニズムを作るという。
マナー違反の定義は?
マナー違反をどう定義するかについて、中国社会科学院旅行研究センターの劉研究員は、次のように分類する。◆公安(警察)などの法の執行部門が取り締まる事案については、直接記録する◆メディアなどで社会に悪い影響を及ぼすと報道された事案については、関係部門が調査の上、事実を確認した後、記録する◆ガイドや旅行社などから通報のあった事案については、執行部門が確認をした後、記録する、の3つの区分である。 またある専門家は「旅行客のマナー違反は、モラルの問題とも言え、その判定をするのは極めて難しい」と指摘。別の旅行会社のトップも「マナー違反を記録として残すには証拠がいる。証拠を集めるのは現場のガイドの仕事になるが、彼らは執行部門の人間ではないため、実際問題としては極めて難しい」と語る。
3つの分野に分ける必要
「マナー違反は旅行中に突然起きるものではない。普段の態度がそのまま旅行中に現れるのである」と語るのは中国旅行研究院の戴院長。「マナー違反の概念は広いものであり、法律、風習、生活習慣の3つの分野にかかわる。そのためこれらを区別して考える必要がある。すなわち法律に触れるマナー違反については目的地とその国の法律に基づいて、執行部門が判定しなければならない。風習については、旅行行政部門が管理責任を負い、サービス運営会社が告知義務を負う。生活習慣についてはカルチャーの違いによるものだ」との考えを示した。
罰則は法に権限を持たせてから
この問題に関連して国家旅行局の李局長は先ごろ、「中国は旅行中のマナー違反を厳しく処罰する。代表的な事案を捕らえて、意識付けを行いたい」として、マナー違反の旅行者に厳しい姿勢で臨む方針を明らかにしている。
しかしこれに対しては多くの消費者(旅行者)からは不安の声が出ている。「旅行に関係する情報を明らかにすることはプライバシーに侵害に当たるのではないか」「一旦記録されたら2度と海外には行けなくなるのではないか?またそのほかの社会活動にも影響するのではないか」「(たかがマナーで)厳しすぎるのではないか。処罰は誰が決めるのか」等々である。
先の劉研究員は「旅行法はマナー違反者に対する罰則規定を設けていない。このためマナー違反に対する処罰については法律的な根拠がないのが現状だ。旅行法を改正するか、旅行法に法的解釈を加えるかしない限り、法による処罰はできない。法律に権限を持たせてから、その先を考える必要がある。マナー違反の程度によって、処罰の方式も異なるものになるであろう」との見方を示した。
別の専門家は「旅行部門には法的な権限はないため、法の執行部門と協力連携して、マナー違反に対する取り締まりを強化すべきだ」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年2月9日