中国とドイツの研究者は21日、北京と華北地区の煙霧の最も主要な成分である硫酸塩の形成の謎を解いたと発表した。大気中の微小粒子状物質に付着した水分中での二酸化窒素と二酸化硫黄の化学反応が、現在の煙霧発生期の硫酸塩の主要な生成経路であることがわかった。この発見は、排出削減措置の実施を続けていく中で、窒素酸化物の排出削減を優先的に強化することが、大気汚染問題の緩和にとって特に重要となることを示している。
清華大学の賀克斌院士と張強教授、鄭光潔博士、ドイツのマックス・プランク化学研究所の程雅芳教授、ウルリッヒ・ペシュル教授、蘇杭教授らは同日、米誌『サイエンス・アドバンシズ』で、野外観測やモデルシミュレーション、理論計算などの手段によって、北京と華北地区の煙霧発生期の硫酸塩は主に、二酸化硫黄と二酸化窒素が空気中の「粒子状物質結合水」に溶け込み、中国北方地区に特有の中性に偏った環境の下で急速に反応し、生成されたものであることを発見したと発表した。粒子状物質結合水とは、湿度の比較的高い環境下で、PM2.5が潮解(湿度を吸って溶解)する際に吸着した水分を指す。
「この研究は、中国の複合型汚染の特殊性を示している」と賀克斌院士は新華社記者に語った。「高二酸化硫黄は主に石炭火力発電所、高二酸化窒素は主に発電所や自動車などから来る。中和作用を果たすアルカリ性物質のアンモニアや鉱物粉塵は、農業や工業汚染、吹き上げられた粉塵などを由来としている。中国におけるこれらのさまざまな汚染源からの大量の排出によって、硫酸塩が特有の化学生成経路によって急速に生成され、重度煙霧期間の粒子状物質濃度が急速に増す主な原因の一つとなっている」
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月23日