2016年1月1日、大きな泣き声を響かせ、鄭州市民の趙さんにとって2人目の子が生まれた。予定より2日遅い出産だった。
この幸運な子が生まれた日は、中国が第2子出産自由化政策を実施した初日に当たるため、これは合法的な出産だ。他の家庭でも計画出産の違反による処罰は受けない。しかし、1日早く生まれていたら状況は全く異なった。
趙さん一家に限らず、2016年1月1日は中国国民に特別な日となった。40年近く続いた一人っ子政策が正式に終わり、中国は第2子出産自由化の時代に入った。
第2子出産自由化の前に注目されていたのは、政策の実施でいったい何人が2人目の子供を産むのかということだ。政策導入から1年が過ぎ、統計は完全にまとまっていないが、第2子出産自由化による効果の程がはっきりしてきた。
自由化の前には多くの機関が大幅な出産増を見込んでいた。初年度の新生児数については、400万人から700-800万人までと予想が分かれ、1000万人を超えると言う専門家もいて、最も保守的な予測でも200万人超とされていた。
各省・直轄市の分娩カルテデータをみれば、2016年は確かに多くの地方で妊産婦が大幅に増えたことがわかる。北京市を例にとると、2014年の新生児数は20万8000人、2015年は17万2000人だったが、北京市衛生計画生育委員会(衛計委)の試算では2016年は30万人を超える見通しだ。
現時点では2016年の新生児数は正式に発表されていないが、すでに予測を示している政府当局や専門機関がある。中央政府衛計委直属の中国人口・発展研究センターは、ウェブサイトで1秒ごとに変動する人口時計を掲載しており、中国人の総人口と出生者数をリアルタイムで明らかにしている。2016年12月31日時点で、その時計が示した2016年の出生者数は合計1618万人と、2015年の1655万人を下回った。
低出生率トレンドの転換は困難
中国人口学会の翟振武会長は、出産を完全に自由化しても出生率に対する影響はごくわずかで、出生率に影響する要因として出産政策のほかに子育て、女性の就業、都市化などがあると指摘。人口と資源・環境などとの密接な関係を考慮し、着実に出産政策の調整・整備を進める必要があると話した。
李建新氏、陳友華氏、人民大学教授の顧宝昌氏など多くの学者が、現在の政策について、想定する出生率が民衆の出産意欲を上回っている上に、制限を超える3人以上の子供を産む人が非常に少なく、出産コントロールにかかるコストが高過ぎるため、政策を継続する必要はないとの見方を示した。第2子出産自由化にとどまらず、早期に出産制限を撤廃し、自主的な出産の権利を民衆に与えるべきとしている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年1月10日