白酒ソムリエ、舌の上の技術で職人魂を伝承

白酒ソムリエ、舌の上の技術で職人魂を伝承。黒のロングスカート、赤のジャケット、ハイヒール、キリッとしたショートヘア、上品な化粧…

タグ:職人魂 白酒

発信時間:2019-03-14 13:50:55 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

    黒のロングスカート、赤のジャケット、ハイヒール、キリッとしたショートヘア、上品な化粧。記者は北京で全人代代表の曾娜氏と会った時、「おしゃれで優雅」という第一印象を受けた。彼女が1年365日のほぼ毎日、白酒に接しているとは想像もつかなかった。

 

 1980年代生まれの曾娜氏は国家クラスの白酒鑑定士、一級ソムリエであるとともに、400年以上の歴史を持つ白酒工場の伝統の醸造技術の23代目後継者でもある。

 

 「どれほど酒に強いのか」、「ソムリエは毎日飲まなければいけないのか」、「酔ったことはないのか」など、記者の頭に疑問が次々と浮かんだ。

 

 「きき酒はただ飲むだけでなく、酒とコミュニケーションを取らなければいけない」と曾娜氏。ごく普通の白酒も、彼女の舌に出会うと魂を持つ。

 

 彼女によると、白酒にはそれぞれの個性があり、情熱的で自由奔放な若い女性のようなものもあれば、歳月を経た上品な年配者のようなものもある。

 

 きれいなグラスに半分まで酒を注ぎ、色と透明度を観察する。軽く揺らし、傾け、香りを嗅ぐ。そして口に含んで味わう。酒が舌の両側に流れると酸味を最も敏感に感じ、舌の根で苦味を感じる。酒を舌全体に行きわたらせると、喉を通るときに少し辛味を感じ、瞬間的に豊富な味わいが全体に広がる。

 

 色を観察し、香りを嗅ぎ、味わい、酒は彼女の表現で生き生きとする。

 

 酒工場で、彼女は基礎酒の検査・ランク付け、調味配合、完成品の審査、市場での偽商品の鑑定、商品開発などを行なっている。

 

 トップクラスのソムリエは、非常に優れた味覚が要求される。

 

 「見た目が全く同じミネラルウォーター、蒸留水、純水、白湯、水道水でも区別しなければいけない」と話す曾娜氏は、2006年に全国食品工業協会第7回白酒ソムリエ資格に合格した際、このような試験問題に出くわし頭の中が真っ白になったという。「このような状況を普段練習したことがなかった」と彼女は話す。

 

 最終的に、しっかりとした基本技術と安定した精神力で彼女は全問正解し、全国約300人の受験生の中で才能を発揮し、26歳にして当時の全国最年少国家クラス白酒ソムリエになった。

 

 この「舌の上の技術」はすぐに習得できるものではない。

 

 酒造の家庭に生まれた曾娜氏は、生まれながらにして酒の香りに好感を持っていた。1977年、ダンスアートの仕事を2年していた彼女は酒工場に転職した。解説、包装、品質検査などの末端のポストを経てきた彼女はソムリエ募集のチャンスに出会い、20年以上のソムリエ生涯をスタートさせた。多いときは1日に100種類以上を飲み、アルコール度数最高は70度前後の原液だという。

 

 1年のほぼ毎日利き酒をする彼女は、敏感な嗅覚を維持するために「味気ない」生活を送り、仕事の時は香りのある化粧品を使用しない。また、食事も薄味で、火鍋が好きな彼女は「泣く泣く我慢」している。

 

 全人代の期間中、彼女は酒に触れないため丁寧に化粧をした。しかし、グラスを持つと「職業病」が発症し、「これはミネラルウォーター。塩分の塩辛さが少しある」などと品評してしまう。

 

 酒工場の伝統の醸造技術の23代目後継者である彼女は、今年の両会で「無形文化遺産の伝承」に特に関心を持っている。「中国の白酒は数千年受け継がれている。これは伝承人が技術と職人魂を守り抜いたおかげ」と話す彼女は、先人の醸造技術の精髄を後世に全て残すと同時に、先人の基礎の上で新しいものを生み出し、革新的な発展を絶えず行っている。

 

 昔の文化風習にも新たな生命力が必要である。ここ数年、曾娜氏は酒工場で中国式カクテルの開発に参与している。ターゲットは若者市場。2本の唐辛子、数粒の青花椒、3本のセロリなどの原料を順番に入れ、氷を加えて混ぜ、漉して注ぐと四川風味の「巴蜀記憶」が完成した。


 曾娜氏は、「先人の職人魂を伝え、質を維持しながら技術を伝授し、伝統技術を伝承・精進させていく必要がある」と夢を語った。



「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年3月14日


TwitterFacebookを加えれば、チャイナネットと交流することができます。
中国網アプリをダウンロード

日本人フルタイムスタッフ募集    中国人編集者募集
「中国網日本語版(チャイナネット)」の記事の無断転用を禁じます。問い合わせはzy@china.org.cnまで