初のブラックホールの写真、3つの問題を残す

初のブラックホールの写真、3つの問題を残す。

タグ:ブラックホール 写真

発信時間:2019-04-12 14:22:13 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 ブラックホールの初の写真が10日、ついに公開された。これはブラックホールが存在する直接的な証拠であり、ブラックホール天文学の新時代のページをめくった。


 しかしながら米科学サイト「Live Science」の10日の記事によると、英エモリー大学のブラックホール研究専門家(以下「同氏」)は「ブラックホールの物語はまだまだ終わらない。我々は喜びの後に、ブラックホール関連のいくつかの重要問題が未解決であることを知る必要がある」と述べた。


 ・ブラックホールの巨大な熱と高速ジェットはいかにして生じるのか


 中国科学院国家天文台の陸由俊研究員は科技日報の記者に「すべての特大質量ブラックホールは付近の物質を飲み込み、ブラックホールの事象の地平面を通過する物質を吸収する。さらに光速に近いスピードで残りの物質を宇宙に噴射する。天体物理学者はこれを相対論的ジェットと呼んでいる」と説明した。


 例えば今回イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)の「被写体」となった銀河「M87」の中心のブラックホールは、その印象的な噴射によって知られる。そこから噴射される物質と放射線は宇宙全体に届く。その相対論的ジェットは非常に巨大で、周囲の銀河から完全に離れている。


 物理学者はこれがどのようにして生じたかを理解している。物質がブラックホールの引力の穴に入ると、物質は極めて高い速度まで加速され、それから一部の物質が脱落する。しかし彼らはこの状況の発生に関する細かい点で意見を一致させていない。発表されたばかりのこの写真と関連文書は、詳細な情報を提供していない。


 同氏によると、この細部を明らかにするためには、まず非常に狭い範囲をカバーするEHTの観測結果と、より大きな相対論的ジェットの画像を結びつけて検討する必要がある。また銀河系の中心の特大質量ブラックホールの画像の公開に伴い、我々は多くの回答を手にする可能性があるというのだ。銀河系の中心の特大質量ブラックホールはM87の中心のブラックホールのようにジェットを生まない。そのため2枚の写真を比較することで、一部問題を整理できるかもしれないというわけだ。


 ・一般相対性理論と量子力学をいかに統一するべきか


 陸氏によると、物理学者は約1世紀に渡り2つの異なる規則により万物を解釈しようとしてきた。彼らは一般相対性理論により引力のような大きな出来事を解釈した。量子理論は非常に小さな出来事の解釈に用いた。ここで問題となるのは、この2つの規則を統一しがたいことだ。量子力学では引力を解釈できず、相対性理論では量子の行為を解釈できないからだ。


 それでは万有引力と量子理論は本当に水と油の関係なのだろうか。物理学者はそう考えない。彼らはいつの日か大きな統一理論を作り、この2つをその中に収めることを願っている。この未だ見つかっていない大きな統一理論は、一種の量子引力と関連するものになるかもしれない。


 初のブラックホールの写真が発表される前、科学者はこの問題で進展が得られるかもしれないと推測していた。


 しかし同氏は異なる意見を持ち、新たな写真は2つの分野間の距離を縮める新たな物理学を提供しなかったと説明した。


 しかし、新たな写真から回答を得ようとする考え方は合理的であるとした。ブラックホールの影の縁が引力を極小の量子空間に持ち込むからだ。


 「私たちは事象の地平面に非常に近い場所、もしくは宇宙の大昔の段階で量子引力を目にできるだろう」


 ・ホーキングの理論はアインシュタインの理論と同じく正確か


 陸氏によると、スティーブン・ホーキングの物理学に対する最大の貢献は「ホーキング放射」という理論だ。この理論は、ブラックホールは実際には黒色ではなく、時間の流れに伴い少量の放射線を出すとしている。これは非常に重要な点だ。ブラックホールが成長を止めれば、エネルギー損失により非常に緩慢な縮小を開始することを意味するからだ。


 同氏によると、EHTはこの理論を証明も否定もしていない。


 同氏によると、M87の中心のブラックホールのような巨大ブラックホールと比べれば、それが発するホーキング放射は微々たるものだ。私たちが現在持っている最新の設備はこのブラックホールの事象の地平面の明るい光を観測できるが、特大品質ブラックホールの表面の非常に暗い閃光を目にすることはほぼ不可能だ。そのためその放射を発見するのは困難だ。


 同氏は、最も小さなブラックホールがこの答えを得る鍵になるだろうと話した。このブラックホールは「短命」の天体で、すべての事象の地平面を把握できるほどの大きさだ。しかもその放射はブラックホールの大きさと比べると大きめだ。


 同氏によると、人類は最終的にこのようなブラックホールもしくはその作り方を発見し、かつその放射を測定することでホーキングの理論の正しさを検証する可能性があるという。


 ブラックホールは俗世間から離れた隠者のようで、宇宙に関する多くの神秘を身にまとっている。それを垣間見た後に研究を掘り下げ多くの秘密を明らかにすることで、私たちは宇宙、それから私たち自身への理解を深めることができる。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年4月12日


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