有人深海潜水艇「深海勇士」が海底でゴミの山を発見したというショッキングなニュースが伝わった。中国科学院深海科学・工学研究所の彭暁彤研究員によると、「深海勇士」の昨年5月の科学観測でも、深海の海底にゴミの山が偶然見つかっていた。
TS12科学観測任務を遂行中の「深海勇士」は、海底ゴミの観察を続ける。彭氏によると、「深海勇士」が発見した海底ゴミは主にプラスチック製品、ビニール袋、玩具、ペンキの容器、網など種々様々だ。潜水艇が集めた海底生物の一部はプラスチックごみと一体化し、驚きの姿となっている。
同済大学海洋・地球科学学院の鐘広法教授によると、深海のゴミの山はもはや異論の余地なき事実となっている。海洋科学者は70年代より海洋ゴミの研究を開始した。近年潜水した「ディープシーチャレンジャー」は水深1万メートルのマリアナ海溝でもプラスチックごみを発見した。
「海洋ゴミは海面・海中・海底、近海・深淵・北極・南極に到るまで存在している。一部の国の一部の海域の問題ではなく、世界的な問題になっている」
科学者は主に、海底ゴミの出処と拡散ルート、及びそれが海洋環境及び生態系にどの程度の影響を及ぼしたかを研究している。
地球の7割が海洋で、うち深海が半数以上を占めている。毎年数百万トンのプラスチックごみが入り、数百年も分解されずに残っている。さまざまなゴミが生態系の安全を脅かしており、ウミガメやイルカがゴミを間違って食べて窒息死するといったニュースが後を絶たない。数百年に渡り形成されたサンゴにもゴミが引っかかり、破壊されている。鐘氏は「深海は浄土ではない。科学者は深海ゴミの環境への影響を評価中だ」と述べ、次のように続けた。
ゴミは人類活動を反映している。科学者はゴミがどこから来て、どのようにして深海に移動したかを理解し、海洋環境の構造と変化を知ることで保護措置を打ち出そうとしている。生態系の被害により最終的に汚染されるのは、人類の食物連鎖だ。現状を見ると、深海ゴミは主に河川による移動や通り過ぎる船からの廃棄によって形成されている。ビーチのゴミは人の手で拾うことができるが、海底ゴミの対策はほぼ不可能であり、根本的な規範化に頼るしかない。多くの人々、特に漁師にゴミを分別させ、プラスチックごみを海に捨てさせない公共教育を行う必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年7月22日