中国各地で最近、強い対流が発生しており、蘇州市と武漢市が竜巻に見舞われた。現在までの死者は12人で、数百人のけが人が出ており、多くの民家が倒壊している。竜巻は非常に珍しい自然現象と思われるが、なぜ最近になり負傷者の出る深刻な事態が頻繁に生じているのだろうか。中央気象台の首席予報士である張濤氏は次のように説明した。
竜巻は局地的・小規模・突発的な強い対流で、極めて不安定な気象状況のもと空気の対流運動により発生する強く狭い範囲の空気の渦だ。竜巻は時間的にも空間的にも小規模で、直径は通常100メートル以下、発生してから消え去るまでの時間は数分から数十分だ。
そのため強い対流は竜巻発生の基本条件だ。中国は現在、強い対流が多発する時期に入っており、かつその種類は複雑で混ざり合っており、主に長江中・下流に集中している。中国では年初、強い対流が少なく遅めとなったが、現在はこれが多発し強まる段階に入っている。これは例年と異なる点だ。強い対流が備える条件のほか、低空の急流が比較的強く、竜巻発生の確率を大幅に上げる。他にも平原地帯は竜巻が発生しやすい。中国の場合、長江中・下流の平原、珠江デルタ、東北の平原、華北の平原などは竜巻が比較的多発する地域だ。平原地帯は往々にして人口密集地であり、特に備えと対応に注意すべきだ。
国内でも国外でも現在は竜巻の観測が困難だ。既存の気象観測設備では竜巻を直接観測することが難しい。竜巻が非常に小規模であることから、気象観測所に捕捉される確率が低く、直接観測のデータがほぼ存在しない。ゆえに竜巻の直接的な認定は目撃が頼りで、目撃がなければ災害状況の調査やレーダーなどの遠隔測定資料により間接的に発生を判断するしかない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月17日
![]() |
|
![]() |