筆者は今年2月より中国駐在記者として上海で勤務し、家族とこの都市で暮らしている。この経済大都市の日常的な買い物や朝の騒々しい交通は、フランクフルトでの生活と最も大きく異なっている点かもしれない。初めて上海に来たこの数週間で、ひとまず次の6つの印象を受けている。独紙「ハンデルスブラット」が伝えた。
(一)上海は非常に国際的で、「中国製」のグローバル化の先駆者だ。VW、BOSCH、BASFなどのドイツ企業を含む多くの企業が上海に進出している。現地のグローバルコミュニティとドイツコミュニティは大きい。米国、英国、フランスの学校の他にも、青浦区と楊浦区にはドイツの学校が2校ある。現地の店は利用客の需要に適応し、ドイツのライ麦パンやフランスのクロワッサンなどを提供する。「欧州のバブル」の中で暮らしたい人は、上海で楽に願いを叶えることができる。
(二)ドイツの中国へのイメージは更新が必要だ。中国の一部の問題は私たちドイツ人にとって馴染みがあるが、中国のドイツにおける時代遅れのイメージは更新すべきだ。ドイツ人にとって奇妙な中国料理の鶏の脚やウシガエルなどは上海で見かけるが、人々の日常生活と食事は西側の人が考えるよりも普通だ。
(三)中国人はあまり不満を言わない。中国で暮らすドイツ人の間では、「カルチャーショックは中国を訪れた時ではなく、ドイツに帰国してから生じる」という言葉がある。これはやや大げさかもしれないが、おもてなしの心からすれば確かにそうだ。私たちが新たな家に引っ越した際にちょっとした問題があり、微信で大家に連絡した。すると翌日、作業員が修理のためやってきた。サービス料も驚くほど安いことが多い。ここには「言うより先に手を動かす」というやり方がある。この実務的な精神は中国人の日常生活を貫く共同の主軸のようだ。例えばドイツの駅よりも、中国の駅の管理は厳かな空港のようだ。
(四)中国人の生活はキャッシュフリーで、良いことだ。「現金を持っておかないと」という観点はドイツで依然として主流だが、中国では多くの人から支持を集められない。中国人は携帯電話でコードをスキャンし決済を行う。この非接触型の操作はシンプルで安全だ。中国に来たばかりの数週間、筆者はよく現金で支払いをしていたが、お釣りがなく隣の店に両替に行く店主もいた。皮肉なことに上海では最近、現金しか受け付けない場所が一つだけある。ドイツの学校だ。
(五)個人の生活に政治色はない。中国人とプライベートで交流すると、人々は食べ物、天気、ドイツの車について熱心に語る。上海のタクシードライバーもベルリンと同様、話し好きだ。
(六)中国の公共生活は安全と管理の間にある。上海のほぼすべての車道と庭にカメラが向けられている。この話題については評価が困難だ。一部の中国人(と外国人)は中国社会が提供する安全を誇りにする。バイクが地下駐車場で盗まれれば、泥棒はすぐに見つかるだろう。(筆者=マーティン・ベニンホフ)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年3月26日