青海野生動物救護繁育センター(以下「救護センター」)の11日の発表によると、救護センターはこのほど世界で初めてチベットスナギツネを救護後、衛星測位首輪を装着し野生に帰した。チベットスナギツネを救護し野生に帰す作業と、科学研究観測を結びつけたのも今回が世界初。獣医学と生態保護学の緊密な結びつきを実現し、チベットスナギツネ個体行為学などの研究に豊富な基礎的資料を提供する。
チベットスナギツネは青蔵高原の固有種で、主に中国に分布しているが、ネパールやインドの一部地域でも観測されている。中国では青海省、西蔵自治区、甘粛省、新疆維吾爾(ウイグル)自治区、四川省西部に分布している。中国国家2級重点保護野生動物。
説明によると、6月4日にあるチベットスナギツネが青海省西寧市湟源県日月郷哈城鹿場のフェンスに引っかかった。湟源県林業草原局の救護人員は現場で救護後、動きが悪く体調が優れないことに気づき、救護センターに搬送した。
救護センターはチベットスナギツネの身体検査を行い、2023年生まれの1歳のオスと判断した。体重は4.8キログラム(正常ならば3.2−5.7キログラム)。このチベットスナギツネは目立った外傷も感染症もなかった。救護センターの慣例に基づき、チベットスナギツネは「狐三条」と名付けられた。
3カ月余りの飼育と看護を経て、救護センターの作業員は9月26日に最後の身体検査を行い、衛星測位首輪を装着した。それから湟源県林業草原局の作業員と共に日月郷で野生に帰した。
現地は標高3300メートルの緩やかな坂で、典型的な寒冷地芝原環境だ。チベットスナギツネの野外における最も主要な食料となる、多くのクチグロナキウサギが生息している。
測位首輪が伝送したデータによると、野生に帰った後の「狐三条」は近くで活動を続けている。昼行性が顕著で、朝と夕方の活動が最も活発だ。首輪は10月10日までに「狐三条」の325件の測位データを取得し、50枚弱の写真を撮影した。日常的には野生に帰した場所から2キロメートルの範囲内で活動している。活動面積は約10平方キロメートル。広々とした環境での活動と捕食を好む。活動状況は正常で、野生に順調に帰ったと初歩的に判断された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年10月12日