答 中国の現行の戸籍管理制度は計画経済期の産物であり、都市と農村の戸籍という二元的管理を実行するとともに、労働雇用、住宅、教育、社会福祉など公民の権益とリンクしているため、それは無形のひものように、人々の自由流動を制限しているばかりでなく、都市の発展と農村都市化のプロセスをも阻害している。 国民経済および個人が市場経済の条件の下で健全に秩序立って発展するのを戸籍制度で促進するため、中国は1997年から小都市で戸籍制度改革の試行を始め、2001年から全国で全面的に推し進めている。2005年、中国はまた戸籍制度改革深化の意見をいちだんと検討し始めたが、全般的構想は、農業戸籍と非農業戸籍の限界を取り消し、都市と農村の統一した戸籍登録管理制度を模索、確立し、同時に合法的な固定住所を定住の基本的条件とし、大中都市の戸籍移転制限を徐々に緩めることである。 戸籍制度改革は中国の社会発展の必然的要求で、社会進歩の重要な標識であり、国家経済の発展と人民生活の改善に大きな影響を及ぼすものである。現在中国で行なわれている戸籍制度改革は、戸籍制度を取り消すものではなくて、市場経済発展の必要に応じて行なう必要な補充と改善であるが、戸籍制度改革の最終的目的――自由移動の現実に達するにはまだまだ時間がかかる。中国の国情から言えば、現段階に公民の自由移動を完全に認めるなら、都市特に大中都市に非常に大きな圧力をもたらし、公共施設、医療、就業、教育などがついていかれなくなる。たとえば、中国の首都北京の現在の人口は1000余万に達し、世界のほとんどの国の総人口よりはるかに多いものである。 中国は最終的には戸籍管理制度を取り消すと見る人がいるが、これは誤解である。戸籍制度は世界の多くの国で実行している人口管理方法の一つで、日本、タイ、スウェーデン、ノルウェーなど東方と西方の諸国はみなこの管理制度を実行している。現在、中国は二代目の身分証を発行しているが、それが戸籍管理制度に完全に取って代わるのは不可能である。中国の社会管理における戸籍管理制度の役割は明らかであり、政府の国民経済と社会発展企画制定、労働力の合理的配置などに基礎的なデータと資料を提供することもできれば、中国の治安管理の基礎と重点でもあり、治安維持、犯罪取締りなどの面で依然として大きな役割を果たしている。したがって、戸籍管理制度は中国の行政管理の重要な構成部分として、長期にわたって存在し、「戸籍」は現在でも将来でも取り消すことがありえない。現在、中国は「戸籍法」の調査研究と起草に取り組んでいるが、その目的は、新しい戸籍管理制度を人々の移動状況にいっそう適応させ、すべての中国公民の平等自由権をよりよく保障することにある。 |