答 重大な経済犯罪行為として、汚職腐敗、脱税、麻薬密売、密輸およびテロ活動などがいずれもマネーロンダリングと密接なかかわりがあるのは確かだ。中国マネーロンダリング取締りモニタリング分析センターの提供するデータによると、2005年末現在、同センターが公安機関に移送した疑わしい取引の手がかりは683件で、それと関係ある金額は1378億元、外貨10余億ドルに達し、取引回数は7万余回、口座は4926ある。日ましにひどくなるマネーロンダリング活動は国の政治安定、社会安定、経済安全、国際政治経済システムの安全に対し重大な脅威となっている。 責任を負う国として、中国は一貫してマネーロンダリング取締りを重視し、「マネーロンダリング取締り法」の制定と審議は、中国が法律の形式でマネーロンダリング活動を予防、モニタリングし、国内で日ましにひどくなるマネーロンダリング活動および密輸、麻薬密売、汚職・賄賂などマネーロンダリングとかかわりのある犯罪を効果的に抑制することを示している。 2006年4月、3年ほどの下準備を経て、7章、45条からなる「マネーロンダリング取締り法」案は第10期全国人民代表大会常務委員会第21回会議の立法プロセスに入った。同法案はマネーロンダリング取締り面で次のような新しい措置をとることを規定している。 一、マネーロンダリング取締りメカニズムをフルに利用して腐敗に反対するため、同法案は、金融機関と特定の非金融機関は顧客の身分識別制度を確立し、身分のはっきりしない顧客にサービスを提供してはならず、一定の条件に合致する公務員に対し、重点的に身分識別と口座・資金流通情況を重点的にモニタリングすると規定している。中国の刑事追訴時効の決定に基づいて、同法案は顧客の身分資料および取引情報を取引後少なくとも5年間保存し、疑がわしい取引にかかわるものは少なくとも20年間保存すると規定し、それによって資金の真実性と取引の真の目的を見分け、実際所有者と受益者を追及する基礎を築く。 二、多額取引と疑がわしい取引を報告する制度を規定している。同法案は違法犯罪行為を発見、追及する手がかりとして、金融機関、特定の非金融機関が全額が一定の基準に達し、はっきりした経済的と合法的な目的のない異常な取引は、直ちにマネーロンダリング取締り情報センターに報告するよう要求している。現行法規の規定した「多額」と「疑がわしい取引」の基準は、法人、その他の組織、個人経営商工業者の間で行なわれる1件の金額100万元以上の振替支出、1件の金額20万元以上の現金収支および各種資金の振替などの取引であり、これらはマネーロンダリング予防、モニタリングの重点と見なされる。 三、マネーロンダリングが徐々に非金融機関に浸透するすう勢に対し、同法案は、銀行、証券、保険などの金融機関がマネーロンダリング取締りの主体であり、不動産販売機構、貴金属と真珠・宝石取引部門、競売企業、弁護士事務所、会計士事務所など特定の非金融機関もマネーロンダリング取締り、モニタリングの義務を担うべきであり、マネーロンダリングの内部抑制制度を確立すべきであると規定している。 四、緊急な情況の下での犯罪資金移転、流出などの問題を効果的に解決するため、同法案は国務院のマネーロンダリング取締り行政主管部門がマネーロンダリングに対し調査を行ない、質問、資料検査、複製、密封および臨時凍結などの措置とることができると規定している。同時に、権力乱用を避け、部門と個人の合法的な財産権利を保護するため、一部調査措置の行使条件、主体、許可手続きと期限を規定している。 五、他国と協力して国際テロ犯罪に打撃を加えるため、同法案はマネーロンダリング取締り措置が同時にテロリズムへの資金援助活動の予防とモニタリングにも適用すると規定している。 中国のマネーロンダリングを取り締まる態度はかねてから非常にはっきりし、断固としたもので、中国がマネーロンダリングをすかさず発見し、モニタリングし、犯罪の所得を追跡調査、没収し、マネーロンダリング犯罪とその上流犯罪を抑制し、マネーロンダリングが金融機関にもたらす金融リスク、法律リスクを取り除くことに役立つだけでなく、中国のマネーロンダリング取締り国際協力の局面をいっそう広く打開するであろう。 |