■90年代:「外賓」の二重待遇
だが1990年代初めになると、台湾住民の大陸視察調査・投資の第2の大波が沸き起こった(第1の波は1988~1989年)。台湾から香港へのフライトはどれも満員で、ほとんどが香港で乗り換えて大陸に入る台湾住民だった。彼らは1人1人が「台湾企業家精神」を胸に、米ドルでぎっしりのトランクを提げ、投資や貿易のチャンスを求め大陸へ向かうのだった。台胞証は台湾企業家が投資・工場設立を行うための「基本的な証明書」となった。台湾住民は「両免三減半」(工場の生産開始後、利益を上げてから最初の2年間は免税、その後3年間は半額免除)の優遇税制を享受できたのだ。
2000年に民進党が舞台に上がってからも、台湾企業家の大陸への歩みは止まらず、また大陸は台湾住民にとって一番人気の観光地の1つとなり、台湾海峡両岸の民間交流はさらに緊密になった。
この時期、台胞証は一種の身分となり、「外賓外来」で診察を受けられる一方、公園、景勝地、観光地などでは大陸の人々の2倍から3倍の入場料を払わなければならないという代価も伴った。航空券やホテル宿泊費も大陸の人々の倍額になった。
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