シンガポールは世界的な経済危機による打撃で、戦略的に対中関係の強化を迫られている。中国系住民がバイリンガルである強みを生かして、急成長する中国経済の急行列車に乗り込もうと奮闘中だ。多民族国家であるシンガポールはこれまで英語主導の言語政策をとってきたが、指導者らは今、中国語が今後同国の主導言語になると予測し、中国語の学習を積極的に奨励している。香港紙「文匯報」の17日の報道によると、シンガポール内閣の李光耀(リー・クアンユー)顧問相は、あと2世代後には中国語がシンガポール人の母国語となると予言したという。
シンガポール中国語学習推進委員会の会長は、「世界の舞台で中国の重要性はどんどん増している。華僑であるシンガポール人は中国人と交渉する際に言葉の面でも文化の面でも強みがある」と指摘。初代首相で現在は内閣顧問を務める李光耀氏は、09年中国語推進活動の開幕式典で、「あと2世代もすれば、中国語がわれわれの母国語になるだろう」と発言。中国の東南アジアにおける商業利益の拡大に伴い、シンガポールが東南アジアにおける「中国の中心」となり、シンガポール企業の中国での地位を固め、海外企業の中での一歩リードを確保したい考えだ。
同政府の支援による中国語普及活動は1979年に始まった。その目的は、それぞれの中国系住民のコミュニティで統一的に中国語を話させるため。彼らの先人は19世紀から20世紀頭にかけてシンガポールに渡った。それぞれがまちまちの方言を話すため、その子孫も異なる方言を操る。シンガポールには中国系住民が最も多いが、マレー系住民、インド系住民も少なくない。中国語の普及活動を始めた当初は中国系住民に上ェ南(ミンナン)語などの方言を話さないよう指導した。
同政府のデータによれば、現在ではシンガポール人の多くの家庭で中国語が話され、普及活動の重点は中国語の会話と文章の熟練に移った。中国語という強みを生かし、シンガポールは現在、多国籍企業が中国業務に向け高級管理職を育成する温床となっている。その理由は多くの多国籍企業が中国で適した人材が見つからないためだ。
「人民網日本語版」2009年9月17日 |