今年に入り、「收入分配の調整」との言葉が中国当局の発言の中で未曾有の割合で出現している。政府ブレーンを務める学者らは、深いレベルから収入分配の調整を行うことは、中国政府が現在直面する重要任務のひとつであり、「構造調整の年」の勝敗の鍵を握ると述べている。

春節（旧正月）前後、中国の多くの国家幹部は公の場で幾たびにもわたり、国民の収入分配構造調整の重要性を強調している。先月3日、中国共産党総書記である胡錦濤・国家主席は経済発展方式転換について触れた際、「国民収入分配構造の急速な調整」を一番に挙げた。温家宝・総理は先月27日にネットユーザーとの公開討論を行った際、社会の富というこの「ケーキ」を上手に分けることは、社会の公平・正義に関係すると述べた。温総理は、「社会の富というこの『ケーキ』を大きくすることが政府の責任であるのなら、社会の富というこの『ケーキ』を上手に分けることは政府の良心である」としている。

中国社会科学院金融研究所の易憲容・研究員は、中国が現在直面する收入分配の不均衡は主に、居民労働収入が全体の要素の中の富の分配の中で、その比重がますます低くなっているからだと指摘する。絶対多数の低収入・中収入市民にとって、労働力收入は最も重要な収入源であり、多数の人々にとって唯一の富の源である。労働力の収入分配全体の中での比重が低すぎれば、自然に絶対多数の居民収入（市場の大小を決める重要な要素のひとつ）水準は極端に低下し、消費力は下がることになる。

資料によると、過去十数年来、居民收入が中国の国民総収入に占める割合は不断に低下しており、政府、企業の比重が不断に高まっている。中央銀行（中国人民銀行）2008年第4四半期貨幣政策執行報告によると、2007年、居民收入が国民收入に占める比重は57.9％に下落した。一方米国では、居民收入が国民收入に占める比重は70％となっている。

「人民網日本語版」2010年3月3日