今年で2回目になる中国ゴルフ博覧会に出展していた「ムツミ・ホンマ」のブースには、「『匠』とは優れた技術を持つ人のことを指す言葉であり、私の守るべき日本の技術でもある」と書かれてあった。精緻な作りで徐々に中国のゴルフ愛好者から好評を得ている「ムツミ・ホンマ」ブランドの創始者である本間睦会長からも、「匠人」らしい生真面目さが垣間見られる。
伝統と技術へのこだわりを感じさせるこのメーカーの製品は、いったいどんな歴史や理念で作られ、中国進出に対してはどんな戦略を抱いているのだろうか。第10回中国ゴルフ博覧会に参加するために北京に訪れた本間会長に話を聞いた。
「正当なる血統」
320年の歴史がある本間家は多くの有名人を輩出してきた。ゴルフクラブを作り始めたのは50年前。本間家の4人の兄弟は、1本1本のクラブを芸術品のように作り、本間ゴルフを他の追随を許さぬ名門ブランドに押し上げた。
しかし徐々に他の資本が入り本間ゴルフ製作所として上場すると、芸術品ではなく大量に製品を作る方向に変わってしまい、4人の兄弟も本間ゴルフを離れてしまう。
そして10年前に三男の本間睦氏が立ち上げたのが、「ムツミ・ホンマ」のブランドだ。まさに本間ゴルフの「正当なる血統」を持っているブランドと言えるだろう。