この写真が掲示板に投稿され、犀利哥というあだ名がついた

　現実生活におけるストレス発散のためだろうか、ネットユーザーはインターネットというバーチャルな世界で、互いに協力しながら様々な話題を作り出し、自分の力や存在価値を確かめている。もしかしたら、誰もが有名人になりたいという欲望を持っているが、自分で行動を起こす気はないため、他の一般人が有名になるのを見て、一般人がスターになれる可能性を確かめてみたいのかもしれない。

　2010年2月21日、中国のインターネット流行の発信地とも言われるネット掲示板「天涯論壇」において、ある人が街で見かけたホームレスの写真をUPした。ホームレスらしからぬそのスタイルに、珍しいもの好きのネットユーザーたちは熱中した。独特なファッションと表情（特にその鋭い目つき）は多くの人を驚かせ、「犀利哥（目つきの鋭い兄貴）」とあだ名がついた。この投稿は1カ月以内に100万回以上のアクセスを集めた。

　ネット上では、このホームレスが最先端のファッションを着こなしているとするコメントが多く寄せられた。あるネットユーザーは、「犀利哥のコーディネートは日本らしい細やかさがあり、ミックスアンドマッチ風だ。藤原ヒロシ氏にも劣らないほどのファッションの達人に違いない。ヘアスタイルは日本で流行の無造作ヘア、古着屋でゲットした上着をまとい、リーヴァイスの最新の紙袋を組み合わせている。カラーコーディネートは、ベルトが重要なポイントとなっている。このベルトは一般のサラリーマンには着こなせない世界でも限定発売のGUCCIの2色ベルトで、トレンドに敏感な人間しか理解できない」と評価した。

　この評価が幅広く共感され、ネットユーザーたちは犀利哥の写真を集め始めた。彼はタレントなどよりもファッションを理解しているとされ、彼の出現はファッショ界への皮肉だとまで言われた。

　中国のネットユーザーたちはいつもユーモアといたずら心にあふれている。犀利哥の写真を加工して、別のモデルや有名人の顔と挿げ替えたり、動画を制作したり、彼の歌を制作する人まで現れた。これらの写真や動画は様々なサイトやBBSで広まり、さらにはテレビ、新聞、雑誌などの従来メディアでも報道された。

　犀利哥は「ホームレス王子」「イケメンホームレス」などと賞賛され、テレビ番組で犀利哥のファッションを真似るタレントまで現れた。

　彼のニュースは中国大陸から台湾、香港、日本、ヨーロッパまで伝わった。英国の「インデペンデント」紙は犀利哥の中国でのシンデレラストーリーを特別報道し、彼を「Brother Sharp」と紹介した。1カ月も経たないうちに、犀利哥は全国的な有名人となり、今年上半期において最も人気を集めたネット有名人となったのだ。

　ネットから始まり、中国のネットユーザーを大いに熱中させたこのストーリー。テレビや新聞などからも注目されたことは、ネットメディアが新興メディアとして台頭したことへの肯定となり、ネットユーザーたちはこれにより、自分たちの力を改めて確信することとなった。

　「人民網日本語版」2010年5月20日

ネットユーザーに人気を集めたファッション

街で放浪する犀利哥

街で放浪する犀利哥

街で放浪する犀利哥

ネットユーザーが加工した写真

ネットユーザーが加工した写真

ネットユーザーが加工した写真

ネットユーザーが加工した写真

ネットユーザーが加工した写真