遠く日本に嫁ぐ中国の花嫁と聞くと、メディアなどで報道されているような涙、涙の悲劇を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。夫に虐待されて、子どもたちも足蹴にされ、生きていく希望さえ見失うほど、日本人の夫に嫁ぐ事は涙と苦労の辛い毎日だというイメージがある。少し前から、ゲームデザイナーの「日本人夫」が、中国人の妻との「ちぐはぐ」な生活を4コマ漫画にして連載している「中国嫁日記」のブログが、ネットで思いがけず大反響を呼んでいる。漫画はとてもほんわかした雰囲気で、「中国嫁」に対する新しいイメージが生まれた。
目頭を押さえて訴える「中国嫁」は確かにかわいそうだ。しかし、本当の原因はどこにあるのだろうか。「1人でビンタしても、音は出ない」つまり、相手がいなければいざこざも起きない、日本人の夫1人だけが悪いわけではないのかもしれない。日本で生活したい、中国に戻りたくないと考えている中国人の女性にとって、日本の男性と結婚するのは一番手っ取り早い方法である。特に、中国の片田舎から遥々、結婚相手を探すためにやってきた人にとって、欲しいのはただ日本版「グリーンカード」という永住権だけであって、国際結婚の真の意味など、彼女たちからしたらどうでもいいことなのだ。良心のかけらもなく、お金に目がない仲介業者は、女性たちのそういった気持ちを上手く利用して、彼女たちを見ず知らずの男性に押し付けるのだ。
ベールに包まれた「国際結婚」はスリリングである。しかし、時間が経てば最初の興奮はどんどん冷めてしまう。その時になって、2人でどうやってコミュニケーションを取るか、相手をどう理解するか、相手が抱えている悩みをどうしたらわかってあげられるかなどといった問題が浮上してくる。日本人同士の夫婦でも分かり合うことが難しい問題を、文化も言葉も違う2人がどうやって解決すると言うのか。もし、「グリーンカード目当て」の妻と自分の「欲望」を満たすためだけに結婚した夫だったら、結末はもう見えている。また、名目上の結婚だけして、夫と一緒に生活しない「中国嫁」は、悲惨な性生活からは逃れられるかもしれないが、巨額の借金と生活の苦しさからは逃れられないだろう。
「中国嫁」たちが不幸な「国際結婚」に苦しむ理由は、彼女たちが結婚をただの道具、ただの手段、ただの踏み台としか考えていないからである。世の中には利益のために、危険を顧みずに危ない道に飛び込んで「身を以って知る」人たちがいる。そして、世の中には自分の生活を変えるために、異国の地で「身を以って」結婚する人たちがいる。彼女たちは相手を騙しているだけでなく、自分自身をも騙しているのだ。
結婚生活を営むための、維持するための不変の法則を人はいつまで経っても捜し求めている。しかし、愛情こそ結婚の唯一の答えだということを、忘れてしまっている人が多いようだ。もし、しょうがなく結婚したのなら、或いは利益のために結婚したのなら、結婚の本質は変わってしまう。そうなってしまったら、「良い結果」は得られない、なぜなら「良い始まり」ではなかったからだ。
「中国嫁日記」ブログの夫婦は日々、様々な「すれ違い」やたくさんの「分り合えない」を抱えている。それでも夫の描いている面白おかしい漫画の中には、妻への溢れんばかりの愛が詰まっている。漫画は近々、単行本化され、有名な出版社から発売されるという。このことからも分るように、「中国嫁」が不幸になる理由は国籍や文化の違いではない。心の中に純粋な「気持ち」があることこそが「国際結婚」の「礎」となるのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年2月22日