上海に住む15歳の学生約5千人が2年前、経済協力開発機構(OECD)国際学生評価プロジェクト(PISA)の国際調査に参加、トップの成績を獲得した。しかし、PISAの発起人アンドレア・シュライヒャー博士は、北京大学付属高校でこのほど行われた交流会で、「この結果は、上海の教育システムが世界で最も素晴らしいということを示しているわけではない」との見方を示した。中国青年報が伝えた。
シュライヒャー博士は、学生の立派な学習態度など、上海の教育上の特色や長所を高く評価する一方、「空き時間に自分から学習しようとはしない」と学習意欲の低さを指摘した。
シュライヒャー博士は、教育界への影響力が極めて大きい人物だ。米国の有力誌「アトランティック」に「世界の校長」と称され、英国教育相からは、「英国教育にとって最も重要な人物」と目されている。米国のアーン・ダンカン教育相に至っては、「私の知る限り、シュライヒャー博士と肩を並べる教育者はいない。博士は、世界の教育が現在直面している問題について、誰よりも深く理解している」と公言している。
シュライヒャー博士は、16年前から毎年、中国を訪れている。大学入試という大きなストレスにさらされながらも、努力を怠らず真面目に学習に取り組む多くの中国人学生の姿を見てきたが、その姿は必ずしも博士の考えを決定づける要因とはならなかった。博士は「たとえ大学入試という圧力が存在しなくとも、彼らは学ぼうとしただろうか?」と疑問を投げかける。「学生に大きな圧力を加えて勉強を押しつける。これは中国の教育が直面している最大の問題だ。さまざまな研究から、15歳の時点で学習に対する興味や意欲が身についていなければ、将来の成功は極めて危ぶまれることが明らかになっている」と警告した。
この教育界の「大いなる人物」は、世界最高の教育システムとはどのようなものかについて、▽卒業率のみならず、卒業生のその後の能力を重視し、学校で学んで知識が彼らの社会的成功にどれだけ役に立っているかに重点を置く▽教育資源の配分が合理的かどうか、さらには、その効果が得られているかどうかに着目する▽優秀な人材が教師職に就くよう誘致する--の3点から言及した。
「人民網日本語版」2011年10月10日