FIFAバロンドール2011がスイスのチューリッヒで開かれ、澤穂希選手がFIFA女子年間最優秀選手賞を受賞した。
これまでアジアの女子選手と言えば、元中国女子代表のスン・ウェン氏が代表的な存在だった。スン・ウェン氏は2000年に「20世紀最高の女性選手」に選出され(当時、FIFA女子年間最優秀選手賞はまだ無かった)、プラッター会長から「間違いなく20世紀最高の女性選手だ」と称賛された。スン・ウェン氏は表彰の場で、「女子サッカーがもっと盛り上がることを期待したい」と話していた。スン・ウェン氏は2001年と2002年に、FIFA女子年間最優秀選手にノミネートされたが、受賞はできなかった。そして今回、澤穂希選手がFIFA女子年間最優秀選手を受賞、アジアサッカー界の第一人者となった。各メディアは「澤穂希がスン・ウェンを超えた」と報じたが、スン・ウェン氏はとても嬉しそうだった。
澤選手よりも5才年上のスン・ウェン氏は選手時代に澤選手と一緒にプレーしたことがある。代表の試合で戦ったこともあるし、アメリカ女子プロサッカーリーグ(WPS)ではアトランタ・ビートでチームメイトだった。スン・ウェン氏は当時を振り返り、「澤選手とは2年間同じチームいたけど、あのとき、彼女は上り坂、私は下り坂だった(笑)。当時、私は関節の手術を受けていて、チームの中心は技術が高くてキレのある澤選手だった。当時のWPSでは、澤選手とイングランドのケリー・スミス選手を最も尊敬していた」と話した。
スン・ウェン氏は中国女子サッカーの急成長と衰退を体験し、この10年で中国と日本の立場が逆転するのを間近で見てきた。日本の女子サッカー人口は3万人であるのに対し、中国はわずか400人。代表チームも、中国女子代表は日本代表よりも弱くなってしまった。スン・ウェン選手は、「チームは一人の力では強くならない。澤選手は十数年間、チームメイトの成長を待ち続けてきた。日本の育成コンセプトがしっかりしており、澤選手は最後に良いチームメイトに恵まれた。中国女子サッカーも頑張らないといけない。中国サッカーを強くするためには、青少年の育成から取り組まないといけない」と話した。
昨年の夏、スン・ウェン氏はアジアサッカー連盟の指導者トレーニングに参加した。その時、日本のコーチの指導に感銘を受けたという。「どの練習をみても、選手がたくさんボールに触るように考えられていた。試合を想定した練習ばかりで、育成コンセプトがしっかりしているという印象をもった。後から聞いたら、日本ではどこでも一貫したコンセプトと目標をもとに練習をしているそうだ。中国はバラバラだというのに…。」スン・ウェン氏はこのように話した。
青少年の育成に対しどのように一貫性を持たせるか?スン・ウェン氏はここ半年間、この問題に取り組んでいるという。スン・ウェン氏は青少年育成のベテランである上海サッカー協会の技術委員長と協力して、青少年の育成に関する綱要を執筆している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月11日