日本の大学教員は高収入の仕事のひとつに数えられている。しかし彼らの仕事はとても忙しい。日本の大学教員はいかに教え、いかに研究するのか。彼らの研究休暇は?慶応大学総合政策学部の加茂具樹副教授と東京大学教養学部の王雪萍講師を取材した。慶応と東大はいずれも日本で最も有名な私立大学と国立大学である。両校を取材することで、日本の大学の全体像をうかがうことができるはずだ。
加茂氏によると、慶応大学で働く教員の主な仕事はやはり教育である。毎年教員が担当する専門科目の数はあらかじめ決められている。慶応大学では、具体的専門に対して1名が担当することになっている。たとえば加茂氏が最初に慶応大学法学部に着任したとき中国語担当になったが、その後、総合経済学部に移り、現代中国研究が専門となった。自分から辞職や転職をしない限り、加茂氏は現代中国研究を教え続けることになる。教育以外に、日本の大学教員は学内業務も行わなければならない。学内業務とは、大学の方向性を決める活動のことを指す。日本の多くの大学では、教員たちが大学の方向性を決める。事務職員には決定権がない。課程の編成や入学試験の準備、奨学金制度の制定、高校生向けの宣伝活動といった仕事は、みな大学の教授と副教授、講師が自ら行う。教育と学内業務をしっかりこなせてやっと、自由に自分の研究や著作の執筆に時間を割くことができる。すべての教員に対し大学は、彼らが校外でどのような研究活動を行っているのかの報告を義務付けているが、明確な管理規定はない。
加茂氏によると、日本の中規模以上の大学では5~7年に1度、研究休暇(サバティカル休暇)を申請する権利を持つ。受理されれば、半年から1年の間、授業する必要も大学業務に参加する必要もなくなる。休暇期間、給料は全額支給され、教員は完全に自分の研究に打ち込むことができる。慶応大学では給料が支給されるだけでなく、事務職も含めて海外留学奨学金制度がある。申請が受理されれば、大学の奨学金を得て国内外で1年間の研究ができるのだ。
しかし、日本の全ての大学が慶応のように研究休暇を取得できるわけではない。東大の王雪萍氏によると、日本の大学はどこも人員を削減しており、多くの大学で名義上は5~10年に一度研究休暇を申請できるが、実際に取得するのは難しいという。王雪萍氏によれば、日本の大学で教員をやるのは楽ではない。第一に、授業が滞ることは許されない。次に学生募集や図書館管理など学内業務が多すぎる。日本の大学では教師を採用するとき、研究を重視する場合と教育を重視する場合の2種類に分かれると王雪萍氏は言う。研究を認められて採用された教員は、授業課数が相対的に少なくなったり集中授業になったりといった処遇がとられ、研究に没頭しやすくなる。
加茂氏も王雪萍氏も、自身の研究レベルを上げることは日本の大学教員にとって極めて重要なことだと口を揃える。しかし研究するためには教育と学内業務を行うことが前提となる。研究休暇が取れる、取れないにかかわらず、日本の大学教員は必ず授業と研究の両方をしっかり行わなければならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年5月16日