そして、趙甘さんはハイジャック犯の前後左右にいた人のほとんどが立ち上がっていたことに気がついたという。
おそらく15~20分間は争いが続いていたように感じた。ハイジャック犯6人は床に押し付けられ、犯人1人に対し少なくとも2人以上が抑えていた。
乗客もかなり負傷していた。キャビン内には血痕が飛び散り、後から戦闘に加わっていたにもかかわらず、彼自身も両手が血まみれになっていた。彼は、2人の保安員と数名の乗客が頭から血まみれになって必死で戦っていたのを目にしたという。一息ついて座席に疲れて横たわっている目の周りが血まみれになっている人もいた。
ハイジャック犯が鋭利な刃物を持っていたため、多くの乗客が傷を負った。また、犯人の1人は身障者を装い、松葉杖2本を持っていた。彼らは搭乗後、この松葉杖をハイジャックで使用した鋭利な先端をもつ金属管に解体していた。
飛行機は無事にホーテン空港に折り返した。飛行機を降りると乗客全員ひとりひとりに身分確認が行われた。この時、趙甘さんは人の話を聞いて、この飛行機に乗客として4、5人の警官が乗り合わせていたことをを知った。
九死に一生得たひとびとは米国9.11のテロ事件について語りあった。
彼は雑談の中で、最前方に走っていった犯人がなにかに火を着けそこからすでに煙が出ていたが、誰かがこれを蹴ったことで爆発しなかったのだと話すのを耳にした。
戦いが終わり、彼がキャビンに立っていた時、他の乗客が爆発物を持っているのを見た。あれは犯人から奪ったものだったのだ。その爆発物の色はもう覚えていないが、それが墨汁大瓶ほどの大きさだったことだけ覚えている。彼はわざわざ見にいかなかった。「今にも爆発するのではと本当に怖かった。」
この日の夜、彼は「自家製爆発物がどのようにしてセキュリティを潜り抜けたのかについてはさらに捜査中である」という警察からの説明を聞いたという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年7月4日