中国において、「優秀な人材は公務員を目指す」という事実は、公務員の人員構成を改善する上で、前向きな作用を及ぼすことは間違いない。しかし、社会全体が、国家機関で昇進していくことが出世するための最高な道であるという認識を持っているのなら、この認識は変えていかなくてはならない。人民日報が伝えた。
25日、国家公務員採用試験が実施され、受験者数の多さが再び社会の注目を浴びた。今年の受験者は112万人に達し、合格率は53倍の難関となった。人気の高い一部のポストには数千人が応募するという尋常ではない光景は、ますます増える一方となっている。
決して冷めることのない公務員ブームは、大学入学者・卒業生の増加という客観的状況と切っても切り離せない。また、「公務員という職業には、大きな価値が秘められている」という人々の心にある共通認識とも、深い関係がある。
改革開放30数年、職業の選択に対する中国人の観念には、極めて大きな変化が生じた。しかし、社会における「役職本位」という考え方の根っこは依然深く、「勉学に励んで官僚になる」ことは、相変わらず多くの人の目標となっている。既存の官僚体制の中で、公務員試験を受験して公務員になることは、「官僚への道」への基本的な最初の一歩であることは疑う余地がない。また、官僚体制の枠の外で就業する人にとって、高騰する住宅価格から生じた「蝸居(狭苦しい家)」「蟻族(大学を出たもののまともな職にありつけず、集まって暮らす若者達)」、外資企業や民間企業の激烈な市場競争で、いつ自分に鉾先が向けられるかと気が気でない「リストラ」「減給」などは全て、生活における不確定要素を構成している。一方、「公務員」は、聞こえが良く、安定しており、社会的地位が高く、福利厚生面も万全と、拒むことなどほぼ不可能な、強大な吸引力を備えている。
数十年間も苦労を重ねるより、体制の中に居場所がある方が良い。ここ数年、経済が持続的に急成長を遂げているが、中国人の生活に対する安心感は、所得とともに上昇している訳では決してない。それどころか、社会保障制度の不備などさまざまな原因から、所得の低下を常に心配している。老後の生活や病気になった時のことを思い焦る心理は、どの中国人にも共通したものだ。このような状況から、公務員試験受験に熱中する大学生がますます増えている。彼らは、公務員以外の仕事を選ぶ際にも、仕事上の待遇や福利厚生を何よりも重視する。反面、自分の専門・能力・趣味と仕事との適合性、業務のキツさ、労働環境、職場の人間関係などその他ソフト面での要素に対する彼らの関心は、下がり続けている。