ここ数カ月、ドイツやニュージーランド、オーストラリアなどで、乳児用粉ミルクの販売制限が実施されているが、その波が英国にも広がっている。英紙「フィナンシャル・タイムズ」の8日の報道によると、英国の一部のスーパーが今月から、乳児用粉ミルクの販売を1人2缶までに制限した。その原因について、国外メディアは「中国人の外国の粉ミルクに対する需要が恐ろしいほど大きいため」と伝えている。環球時報が報じた。
英国放送協会(BBC)によると、英国国内の「モリソンズ」や「セインズベリーズ」、「アズダ」、「テスコ」などの大手スーパーがこのほど、乳児用粉ミルクの購入を2缶までと制限した。上記スーパーの粉ミルク売り場に行ってみると、販売制限実施の張り紙が張られていた。責任者に理由を聞いたところ、「本社の指示」と回答。「特にどのような客の粉ミルク買い占め行為に注意するようにとは聞いていない」とした。一方、英メディアの間では、中国で最近発生している外国製粉ミルクブームと直接関係しているという見方が強い。英国小売業協会(BRC)の報道官は取材に対して、「このような新しい規定は、メーカーの要求に応じて定められているはず」と指摘。メーカーは、組織されたグループが大量に買い占め、それを輸出すると、企業の利益が損なわれると見ている。
オーストラリアでも2カ月ほど前に大型ショッピングセンターや薬局などが共同で、1人につき1回粉ミルクを4缶までしか購入できない制限を設けた。さらに、店内の監視システムが集めたデータをレジのシステムに入力し、24時間以内に繰り返し購入して、制限の量を超えた客がレジを通過できないシステムを導入した。一方、現地の郵便局もこれまでは、郵送できる粉ミルクの数を制限していたものの、各スーパーが購入制限を実施したため、郵送制限は解除。しかし、郵送料を値上げ。現在、粉ミルクの郵送料は、粉ミルク自体の値段とほぼ同じになっており、保険をかけた場合は、粉ミルクより高くなる。
さらに、ドイツでも1月末から、ドラッグストア「DM」や「ロスマン」などが、粉ミルクの売り場に「粉ミルクは1人3缶まで」との注意書きを張り出した。中でも「DM」は最近、制限を強化し、子供の身分証明書提示か子供を実際に連れて来ることを求めている。また、同国の税関も中国向けの粉ミルク発送を5缶までに制限した。そのため、今では多くの中国人が外国人の代理購入者や同国の食品代理購入業者を通して、粉ミルクを購入するようになっている。
ニュージーランドでは2012年初めから粉ミルクの購入を「1人1回2缶まで」に制限するとの張り紙を中国語で張り出すスーパーが登場。9月には、制限が強化され、同国政府が、「インターネットでの購入や親戚・友人へのプレゼントも含め、粉ミルクを国外に持ち出す行為をすべて輸出と見なす」と発表。輸出の許可を得た輸出業者しか、乳児用粉ミルクを含めた粉ミルクの輸出を行えないと規定した。このため、個人の代理購入業者では、粉ミルクを同国の税関から通すことができなくなり、違反が発見された場合は送り主に返送される。現在、同国から海外に粉ミルクを中国に輸出する場合、同国政府の品質管理システム・RMPの認可を得ている現地の中華系食品会社や物流会社が現地で粉ミルクを発注。注文が一定の数量に達した後に、統一してスーパー「GILMOURS」で購入し、認可を得た物流会社が中国に輸送することになっている。このような規制を背景に、インターネットで同国の粉ミルクを現地で仕入れるコストは、現地スーパーで仕入れる場合よりも15-20%高くなっている。しかし、そのメリットは、同国政府が輸出税を徴収できると同時に、GILMOURSや中華系食品会社、物流会社も利益を確保できることだ。
「人民網日本語版」2013年4月10日