インタビューに答える李宝娥さん
美しく度胸のある女性たちが「死後の世界」で生きいく人々のために最後のプライドと理性を保つ。
仕事中は不機嫌な顔をしてはいけない
仕事している時はあまり笑ってはいけないし、不満そうな顔を見せてもいけない。それに、使ってはいけない言葉もたくさんある。李宝娥さんは「自分の家族の死を受け入れるのはとても難しいことである。自分の誠意を示すためには、家族と言葉を交わし、死者の生前の楽しかった思い出を話し、心から語り合うことが必要だ」と話す。
悪夢から見てみぬ振りへ
李さんはこの仕事を始めた当初は怖かったという。「3カ月の研修期間があって、特に気持ちの部分で乗り越えなくてはいけないことが多かった。色々な遺体を見せられ、交通事故、自殺、焼死などなど、乗り越えなくてはいけない壁は多く、最初の頃はとても受け入れることができなかった。悪夢を見ることもしょっちゅうだった」。
遺体を見たこともない若い女性は、恐ろしさのあまり呆然としてしまう。「ある時、一人で告別式の部屋で資料を見ていた。ふと振り返ると交通事故に遭った潰れた遺体が横たわっていた。とてもびっくりして冷や汗が出た」と彼女は言う。「仕事の都合で、昼休みはなく、朝8時半から仕事が終わるまで働き続ける。昼食用の部屋があり、卵とトマトの炒め物や豆腐を食べると、どうしても思い出してしまって、食べられなくなる。今はもう慣れたけれど」。
世間の偏見
出棺と埋葬の仕事に就いて、李さんがもっとも受け入れられなかったのは、世間の偏見だった。
「この業界の人が相手に名刺を渡したら、すぐにゴミ箱に捨てられてしまうのが落ちだ。でも、それはまだましな方だ」。李さんは「親戚に子どもが生まれて、彼らの家に遊びに行った時、私自身も母親だったので赤ちゃんを抱っこしたいと思ったら、『抱っこしないで』と言われてしまい、とても気まずい思いをした」と悲しそうな表情で話してくれた。
「でも、考えてみれば、それが普通なのかもしれない。友だちの結婚式に私は呼んでもらえない。だから、同業者同士での交流が多い。今回のインタビューを通して、人々がもっとこの業界を理解し、少しでも受け入れてくれれば良いと思う」と李さんは言う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月6日