二、二〇〇八年度の経済・社会発展の全般的要請と主要目標
二〇〇八年度の経済・社会発展の活動を進めるにあたって、党の第十七回全国代表大会の精神を全面的に貫徹し、中国の特色のある社会主義の偉大な旗じるしを高く掲げ、鄧小平理論と「三つの代表」の重要思想を指針とし、科学的発展観を深く貫き徹底させ、経済発展パターンの転換と社会主義市場経済体制の充実化を中心として、引き続きマクロコントロールを強化、改善し、改革開放と自主的創造革新を積極的に推し進め、経済構造の最適化と経済成長の質的向上に力を入れ、省エネ・排出削減と生態環境保護を着実に強化し、民生の改善と社会の調和促進をいっそう重視し、国民経済の良好で急速な発展を推進する。
上述の要請に則り、同時に必要性と可能性の両方を考慮に入れ、さらに「第十一次五ヵ年計画要綱」と結び付けて検討した結果、次のような二〇〇八年度の経済と社会発展の主要目標を提起する。
――経済成長の質をさらに向上させる。経済構造を引き続き改善し、第三次産業の発展を速め、ハイテク産業の国民経済に占める割合を高め、GDPに占める研究と試験発展経費支出の割合を一・六%まで引き上げる。単位GDP当たりのエネルギー消費量、二酸化硫黄と化学的酸素要求量(COD)の排出量の削減幅が昨年を上回るようにする。財政収入と企業利益の安定した増加を図る。構造の最適化や効率の向上、エネルギー資源消費量の削減、環境の保護を図った上で、GDP成長率を八%前後とする。上述の複合の経済発展目標を提起したのは、主として政府の規制の意図を全社会に伝達し、各方面が発展パターンの転換、経済成長の質的向上、省エネ・排出削減事業の強化、良好で急速な発展の実現に活動の重点と留意点を置くよう導くためである。各地方は実際に即して、当地の総生産の成長率を合理的に定めるべきで、成長率を盲目的に競い合ったり、次々と目標値を上乗せしたりすることを防止する。
――人民の生活を引き続き改善する。都市部就業者の新規増加数を一〇〇〇万人とし、都市部の登録失業率を四・五%以内に抑える。都市農村住民の所得収入を引き続き比較的速いテンポで増加させ、そのうち、農村住民一人当たりの純収入の実質伸び率を六%以上とする。新しいタイプの農村合作医療制度を全面的に行きわたらせ、その財政補助基準を引き上げる。農村の貧困人口を二〇〇万人以上減少させる。農村の義務教育への保障水準をさらに引き上げ、都市部で義務教育段階の学費・雑費免除制度を全面的に実行する。人口の自然増加率は七‰以内に抑える。以上の目標については主に次のことを考慮に入れた。国民経済が数年連続で安定的かつ急速な発展を遂げるという良好な勢いを保ち、国家の財力が一段と強まり、企業の効率が明らかに向上し、積極的な就業政策が引き続き功を奏していることに加え、住民わけても農民の収入増の促進や社会保障の強化など諸般の政策措置が実行されたため、われわれは就業者数の拡大、都市農村住民の収入増および教育、医療衛生など民生問題の解決においてさらに大きな一歩を踏み出すことが必要となり、またその条件も備わっているということである。
――物価の上昇幅を適正に抑える。消費者物価総水準の上昇幅を四・八%前後に抑える。これについては主に次のことを考慮に入れた。一方で、昨年の価格上昇のラグ的波及効果が今年の価格に比較的強く反映され、国内の農業・副業生産物の価格及び労働力、土地、資源など生産要素の価格が上昇の傾向を呈し、国際市場における穀物、大豆、原油、鉄鉱石など一次産品の価格高騰が国内にも大きな影響をあたえていることや、さらに価格上昇を押し上げる他の要因も考え合わせると、今年の消費者物価総水準の所期上昇率をあまりにも低く設定するのは現実的な策とはいえない。他方では、物価の構造的上昇が明らかなインフレへと転化することを防ぎ、広範な人民大衆わけても低所得層の基本生活を維持し、市場の平穏と人心の安定を保つため、消費者物価総水準の上昇率をあまり高くしすぎてもよくない。そのほか、国は穏健な財政政策と通貨の引き締め政策を実施し、固定資産投資の急激な伸びを引き続き抑制し、国際収支のバランスの促進に取り組み、物価総水準の急上昇を防止するための良好なマクロ環境づくりに取り組んできた。わが国の穀物は連年豊作となり、国内市場における重要な農産物の需給は基本的にバランスがとれている。豚、搾油作物、乳類の生産を後押しする諸措置の実行にともない、供給能力はよりいっそう増強されるはずである。財政は年々大幅な増収を達成し、外貨準備もかなり潤沢であるため、われわれは国内の備蓄と適度な輸入を通して市場供給を調整し、保障することができるようになった。これらはすべて今年の明らかなインフレの発生を防ぐための有利な条件とな8っている。
――国際収支の状況をいくらか改善する。貿易黒字の過度な伸びはある程度抑制され、対外投資は着実に拡大している。当面、国際情勢は全般的に有利な方向に展開しており、国内企業及びその製品の競争力がいっそう高まり、輸出の伸びはこれまで通り総体的に適切なレベルを維持するだろう。一方、「両高一資」製品(高エネルギー消費・高排出及び資源関連の製品)の輸出を規制する政策と輸入やサービス貿易を奨励するなどの施策の効果が次第に現れるにつれて、輸入規模は適度に拡大し、輸出入構造には積極的な変化が起こり、貿易の不均衡状況は改善される見通しである。