県政府が被告の訴訟で当該県の法院が審理を行うのは、裁判官にとっては「遠慮なく審理する」ことが難しいし、原告にとっても不安がつきものだが、今後こうした状況は変わることになりそうだ。最高人民法院は16日、「行政案件管轄の若干の問題に関する規定」と「行政訴訟撤訴の若干の問題に関する規定」を来月1日より施行すると正式に発表した。
最高人民法院の奚暁明・副院長は「いくつかの地方では司法環境が理想的でなく、行政機関による不当な干渉が時折発生したため、基層法院を始めとする裁判所がその機能を独立して公正に行使することが出来なくなり、司法の権威と信頼性に影響を与えている」と率直に認める。現行行政訴訟法は、行政訴訟の一審を末端人民法院が管轄すると規定。中級人民法院は▽特許権の確認や税関関連の訴訟▽国務院の各部門あるいは省・自治区・直轄市人民政府の具体的な行政行為に対する訴訟▽管轄区内の重大・複雑な案件――を管轄すると定めている。両規定は明瞭だが、「管轄区内の重大・複雑な案件」の明確な判断基準を欠く。
このたび公布された「行政案件管轄の若干の問題に関する規定」は、これら「重大・複雑な案件」には▽県級以上の人民政府が被告の案件(県級人民政府名義の不動産物件登記案件を除く)▽社会的影響力が大きい共同・集団訴訟▽外国あるいは香港特別行政区・澳門(マカオ)特別行政区・台湾地区に関わる重大な案件▽その他の重大・複雑な案件――が含まれると明確に規定している。
これにより、県級以上の政府が被告の行政訴訟の一審は中級人民法院の管轄となる。また、行政訴訟法の規定により「県法院が当該県政府を審理する」状況は、中級法院または他地域の末端法院が審理を行うことで、効果的に回避できるようになる。
「人民網日本語版」2008年1月17日 |