次に、中国の国防費の適度の増加が、完全に正当かつ合理的なものであることに目を向けるべきだ。中国はまだ統一を成し遂げていない発展途上の社会主義大国だ。領土が広く、人口が多く、2万200キロ以上の陸上国境、3万2000キロ以上の海岸線、300万平方キロ以上の領海を擁す、世界で最も陸上国境が長く、最も多くの国と国境を接し、国境を跨る民族の多い国であり、安全保障上の周辺環境は非常に複雑で、国家の主権・安全・領土保全維持の任務は極めて困難であり、国家の安全と発展の利益に適した揺るぎない国防と強大な軍隊の建設を必要としており、国防費の適度の増加は完全に必要・正当・合理的なものなのである。
第3に、一部の西側諸国が騒ぎ立てる中国の国防費の問題には、事実の根拠がないことに目を向けるべきだ。両会前後になるたびに、一部の西側諸国はいわゆる中国の国防費問題を喜んで騒ぎ立て、中国の国防費は不透明で真実性がなく、防衛上の必要を上回っているとでたらめな憶測をし、「中国脅威論」を誇張することで、中国のイメージに泥を塗り、中国の発展を抑え込もうとする。これは冷戦時代に旧ソ連の軍事費について騒ぎ立てたのと軌を一にする手法であり、西側の冷戦思考および「中国抑制」「中国弱体化」という一貫した戦略を反映している。いわゆる国防費問題の本質は、統計上の数字や方法をめぐる学術論争ではなく、根本的なイデオロギーと現実の利益をめぐる政治的な争いなのだ。中国の国防費をめぐるこうした国々の主たる観点には、何の根拠もない。
第4に、中国の軍事力の伸びが世界の平和パワーの発展であることにも目を向けるべきだ。中国が平和発展路線を歩み、軍拡競争や軍事拡張を行わないのは、現実的な利益から来る必要であると同時に、歴史的・文化的な必然でもある。国家の政策方針であると同時に、人民の民心の向かう所でもある。中華文明は世界の古代文明中、中断なく現在まで続いてきた唯一の文明だ。中国人の「和」の思想は、悠久の歴史、極めて豊富な内包、深遠の至りである影響力を有す。平和を図り、仲むつまじさを求め、調和を構築するとの理念は民族の血に滲み込んでおり、中国人の行動様式を決定する内在的な価値観となっている。こうした文化的遺伝子が、いくつかの国のような「強国すなわち覇権」の古い道を、中国が過去に歩んだことがなく、現在も歩んでおらず、将来も歩まないことを決定づけているのだ。
「人民網日本語版」2009年3月9日