米国は核兵器削減を謳う一方で、「即応グローバルストライク」(PGS)兵器システムの開発に力を入れている。世界中のあらゆる地点を1時間以内に攻撃できるようにすることで、その強大な軍事抑止力を維持する狙いがある。報道によると米政府は超音速技術の開発を推進するため、来年度予算に2億5000万ドルの計上を求めている。米国防総省もすでに、PGSに使用可能なミサイルシステムのテストに着手している。
米国は現在、PGS兵器システムの一環として新型の超音速巡航ミサイルの開発を進めている。新型ミサイルの巡航速度は現在のトマホークミサイルのほぼ7倍の時速5700キロ以上。即応攻撃能力だけでなく、配備の機動性に優れ、目標攻撃精度が高く、壊滅的な破壊力を持つ。高度約106キロを巡行し、空中、陸上、海上のいずれからも発射可能。核弾頭並みの威力を発揮し得るが、その破壊力は目標エリアのみに限定される。
各国は米国によるPGS兵器システムの開発を注視している。ロシアのラブロフ外相は今月上旬「ある国が核兵器を削減する一方で、新型の代替兵器を開発するような状況が生じれば、他の国々には到底受け入れがたい」と警告した。ロシア国家安全保障会議の議員は「米国が核軍縮交渉で譲歩したのは平和を愛するからでは決してなく、精度の高い通常兵器で相手を殺すことができるからだ」と指摘する。米国のアナリストからも「新型兵器システムは世界の安全保障政策に新たな議論を引き起こし、他の国々の軍事防御システムにとって新たな巨大な圧力ともなる。米国がPGS兵器を発射した場合、核攻撃と誤認され、極めて深刻な事態を招くおそれがある」との警告が上がる。
「人民網日本語版」2010年4月27日