国連気候変動枠組み条約の特別作業部会が5月31日から6月11日までの日程でドイツのボンで行われている。メキシコ・カンクンでの同条約締約国会議(COP16)に向けて、京都議定書の第1約束期間の終了する2012年より後の先進国の温室効果ガス排出削減計画や先進国が発展途上国に提供を約束する気候変動対策資金の徴収・実行などについて議論が進められている。(人民日報海外版「望海楼」欄)
気候変動対策に向けた世界の努力がコペンハーゲンでのCOP15で挫折したことを受け、気候変動懐疑論者が再び表舞台に現われ、声高に地球温暖化の真実性に疑問を唱えている。だが、地球の気温が上昇していることを認める多くの科学者は、気候変動対策の歩みを止めていない。中国は「1人当たり累積排出量に基づくカーボン・バジェット案」を提示した。これは「1人当たり」の原則に照らし、どの国も発展の権利を享受できるようカーボン・バジェットを配分することを主張しており、先進国の歴史的責任と国際的な気候の公平性の双方に配慮したものだ。
今年5月初め、ノーベル賞受賞者11人を含む米国立科学アカデミーの会員255人が「気候変動と科学の誠実性」と題する公開書簡を「サイエンス」誌に連名で発表し、「科学的な結論には、常になんらかの不確定性が伴う。科学が何かを絶対的に証明することは永遠にできない。社会は科学者が絶対的な確信を得られるまで行動を控えるべきだと言うのは、社会は永遠に何もするなと言っているのに等しい。気候変動のように大きな災難をもたらす可能性のある問題においては、何もしないことは、われわれの惑星を危険にさらすことになる」「最近起きた"Climate Gate"など一連の事件も、『地球は現在温暖化している』という根本的な結論を変えるものではない」と指摘した。
気候変動懐疑論者は地球温暖化の真実性に疑問を唱えることはできても、人類の持続可能な発展が現在深刻な試練に直面しているという現実を避けることはできない。石炭、石油、天然ガスといった化石エネルギーの埋蔵量の有限性、およびその使用による深刻な環境汚染は私たちに、現在のエネルギー消費・経済成長モデルから省エネ・排出削減を可能とする低炭素経済成長モデルへの転換を迫っている。
中国は、地球温暖化が事実であろうとなかろうと、「高エネルギー消費、高汚染、高排出」型の発展モデルを変えなければならない。中国では現在、工業化と都市化が急速に進んでいる。「石炭は多いが、石油や天然ガスは少ない」エネルギー構成や資源分布、および「世界の工場」として先進国から移転された温室効果ガスの排出などによって、中国はエネルギー効率の向上と温室効果ガス排出量の削減に向けた努力を迫られている。さもなくば生態環境は悪化し続け、エネルギーの供給・安全を維持できないという深刻な結果に直面するのだ。
したがって省エネ・排出削減は、中国の経済成長パターンの転換における客観的な要請であるとともに、地球規模の気候変動に対処する上で最も重要な措置でもある。両者の重なり合いは、中国だけでなく全世界で起きている。一般市民である私たちは、気候変動が事実か否かという堂々巡りの議論に囚われるよりも、低炭素のライフスタイルを自分から始め、積極的に実践するべきだ。
「人民網日本語版」2010年6月7日