朝鮮がこのほど米国の核専門家に新たなウラン濃縮施設を公開したことは、各国を騒然とさせ、朝鮮の核開発をめぐる疑惑がまたしても浮上した。これを受け、米国務省のボズワース朝鮮担当特別代表が21日、6カ国協議関係国と対応を話し合うため、韓国、日本、中国歴訪に出発した。ボズワース氏は北京時間22日、最初の訪問先・韓国で、朝鮮によるウラン濃縮施設の公開について「新たな挑発行為」としながらも、対朝政策が失敗したとの見方は否定した。中国国営・中国新聞社のウェブサイト「中国新聞網」が伝えた。
復旦大学国際問題研究院で朝鮮問題を専門に扱う石源華教授は、朝鮮が核施設を進んで公開したことについて、協議への復帰を米に迫るため、との見方を示す。
石氏はさらに、これまで6カ国協議は乗り気でない朝鮮をほかの5カ国が説得するという構図だったが、韓国海軍哨戒艦「天安(チョンアン)」の沈没事件が起きてからは、この状況が逆転したと指摘する。「天安」事件が朝鮮によるものと国連は認めなかったが、米韓両国は朝鮮が犯人と断定。朝鮮側が無条件で協議に復帰する意志を表明すると、米はこれまでの態度を一変させ、協議再開の前提条件として謝罪を迫る一方、軍事演習を繰り返して圧力をかけた。石氏は、こうした背景のもと、朝鮮が核施設の公開により、米に揺さぶりをかけた、と今回の事態を分析する。
アジア到着後のボズワース氏の言動が、石氏の分析を裏付けている。
韓国の聯合ニュースによると、ボズワース氏は韓国の金星煥(キム・ソンファン)外交通商相と会談した際、同ウラン濃縮施設に関する情報を事前に察知していたことを明らかにし、これを遺憾に思うとした。また、今回の事態は「危機ではなく、驚きもしなかった」と強調。対朝政策が失敗したとの見方を否定する一方、関係国と足並みを揃え、協議再開も視野に入れて対応をはかる、との方針を示した。
「人民網日本語版」2010年11月23日